子どもの被害を防ぐため除染作業――「朝鮮学校も平等に補助を」
2011年8月15日5:49PM
放射能に汚染された可能性のある校庭の表土除去費用を行政が全額負担するよう要望していた福島朝鮮初中級学校は七月二一日、福島県から「私立学校並み(半額負担)に対処をする」との回答を受けとった。
同月八日、福島朝鮮初中級学校と保護者の代表七人が佐藤雄平福島県知事あての要望書を県庁に提出。要望書には「原発事故対策の対象から福島朝鮮学校を外さないこと」という内容が盛り込まれていた。
朝鮮学校は県の認可する「各種学校」に属し、日本の公立学校とは別扱いだ。高校無償化で朝鮮学校が対象から外された現実もあり、「今回も安心できない」と、“対象外” を危惧する声が上がっていただけに、県からの回答に「一歩前進」と関係者は語った。
朝鮮学校側が懸念するもう一つの点は、文科省が定めた基準値だ。表土除去費用補助が適用されるのは、毎時一マイクロシーベルト以上。福島第一原発から半径約五五キロの郡山市郊外に位置する福島朝鮮学校は、文科省の基準値をわずかに下回る。
同校では毎日放射線量を測定しており、グラウンドや遊戯場は毎時〇・七マイクロシーベルト前後。だが、体育館横の側溝などは毎時二マイクロシーベルト以上でいくつかホットスポットも存在する。
福島県内には、基準値に満たなくても独自の判断で除去作業をする自治体もある。しかし、比較的数値の高い郡山市は文科省の基準に従う方針だ。近隣の公立小中学校も似通った数値で、行政の補助はまだ適用されていないという。
同校の保護者たちは子どもへの影響を懸念し、生徒たちを五月中旬から新潟朝鮮初中級学校に移した。新潟での合同授業は二学期も続行される見通しだ。
福島に残る保護者らは、学校の再開に向けて、敷地内の除染作業を定期的に行なっている。三回目となった二四日には、全国から有志が駆けつけ、総勢一二〇人で大規模な除染作業を実施した。ただ、重機を使った本格的な表土除去の費用は数百万円かかる見積りで、補助なしでは難しい。
作業に参加した福島出身の保護者は「原発事故は人災。子どもに罪はなく、平等に適切な対応をしてほしい」と願う。
(木村嘉代子・ライター、7月29日号)