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原発大国フランスで「脱原発」を叫ぶ――在仏大使館に署名提出

2011年8月16日2:28PM

 パリに長く在住する芸術家たちを中心とする「パリ反原発の会」が七月一九日、在仏日本大使館にて、菅直人首相宛の「全ての原発を速やかに廃止・停止し、エネルギー政策の見直しを求める署名」二〇一九筆を提出した。

「福島の事故は、世の終末を見ているようだ」。ラコスト仏核安全局長の言葉がフランス中に流れたのは三月一五日。フランス政府は飛行機を二機チャーターし、日本在住のフランス人を連れて帰った。残された人々はどうなるのか、と胸を痛めた在仏日本人は多い。

 福島の事故をきっかけに、これだけの原発を暗黙のうちに許してきたという後悔の気持ちを友人らと話すうち、在仏日本人による反原発の会が立ち上がった。

 五月より日本語とフランス語で署名を集め始め、日本人のみならず、多くの賛同が寄せられた。大使館では領事部、経済部、広報部から各一人ずつの計三人に迎えられ、署名を渡したところ、このような署名の提出は在仏大使館では初めてであるとのこと。また食品の放射能汚染で、フランスへの食料の輸入規制などが新たに設けられ、生鮮食料品が輸入できなくなっている問題などを話し合った。

「フランスは津波がないから、日本のような事故の心配はありません」と福島の事故直後、必死で言い続けたフランス政府。電力の七八%を原発に頼っているこの国ほど「脱原発」の難しい国はないかもしれない。しかし福島の事故後、国民の七〇%が原発に否定的な意見を持つようになっている。この国で今後も署名活動を続けるとともに、在仏日本人として地道で息の長い活動を模索中である。

(東海林悦子・ハープ奏者、7月29日号)

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