靖国ノーの訴えを却下――東京地裁「最低最悪の判決」
2011年8月17日4:42PM
植民地支配下の朝鮮で日本の軍人・軍属として徴用された後、靖国神社に合祀された韓国の生存者一人と遺族九人が、合祀撤回と国から神社への情報提供撤回等を求めて靖国神社と国を訴えた「ノー!ハプサ訴訟」で七月二一日、東京地裁は原告全面敗訴を言い渡した。
原告は国に対しては、「靖国神社に対する情報提供告知の撤回」「謝罪文の交付及び謝罪広告の掲載」を求め、靖国神社に対しては、「靖国神社の所有、管理する霊璽簿、祭神簿及び祭神名票からの本件合祀者に関する記載の削除、謝罪文の交付及び謝罪広告の掲載」を求めていた。地裁はそのすべてを退け、靖国神社の「宗教の自由」を全面的に擁護。原告らの人格権または人格的利益については法的保護に値しないと結論づけた。
今回の判決では、生存者にもかかわらず靖国神社に合祀された人についての判断が注目されていたが、原告の「受忍限度を超える侵害がなされたものということはできない」と退けられている。
判決について原告側弁護士の大口昭彦氏は、「判決は(原告の人格権等が)法的な保護の対象ではない、また憲法二〇条との関係でも(国の行為は)特定の宗教に対する助成には当たらないとした。最近の大阪高裁判決では(国が合祀に協力したことが政教分離原則に反し)憲法二〇条に抵触すると明確に言っているのに。三〇年も前の判決を引き写したような判決。まさに最低最悪の判決」と指摘し、「日本人が何をしなければならないのか、全く意識してない判決。弁護団はこれを全力で覆していきたい」と語った。
この日の判決のため七一枚の傍聴券の抽選に一三三名が列を作った。原告らは即日控訴する意思を表明した。
(梁英聖・ライター、7月29日号)