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閣僚宛に署名提出――「思いやり予算」は被災地へ
2011年8月19日4:39PM
東日本大震災による被災地の復興に向けた復興基本方針によると、今後五年間に必要な費用として一〇兆~一二兆円ともいわれる額があがっている。そんな中、在日米軍の駐留に関連する経費「思いやり予算」を被災地に回すよう求める署名活動をしてきた「『思いやり』は被災地へ有志一同」が七月一四日、衆議院議員会館にて、外務省、防衛省の日米安保条約関係者らに、集まった一万二〇〇〇人分(第一次集約)の署名を手渡した。宛先は菅直人首相、松本剛明外務相、北澤俊美防衛相の三人。
米国では、この予算は日本の安全保障政策の重要な要素であるとして「思いやり予算」という用語は使用せず、「HNS=ホスト・ネーション・サポート=受け入れ国支援」と呼んでいる。
三月から署名を集めてきた有志の一人、山口洋子さんは署名を受け取りにきた若手の外務、防衛官僚らに対し「この非常時に多額の思いやり予算を支出することは米国の名誉も損ねる。復興の道筋を立てるためにも、思いやり予算を被災地の復旧や、原発事故を収束させるための費用に回してほしい」と訴えた。
署名を受け取った防衛省担当者の一人は「皆さんの思いはしっかり受け止め、政策にも活かしていきたい。(在日米軍駐留経費については)周辺地域は依然として不透明で不確実。我が国の安全保障を考えると、日米安保体制を円滑かつ効果的に運用していくことが重要だと考えている」と話した。山口さんは「あなたたち若い世代の官僚は、先輩たちがやってきたことを改めてほしい」と応じた。
菅首相は今後五年間にわたり、約一兆円もの米軍駐留経費を支出する方針。被災地の復興に向けた復興基本方針には財源が明確化されていないが、所得税、法人税、消費税などの基幹税が充てられる見通しだ。
山口さんは「消費税率をあげなくても他に財源はある」と話し、第二次、第三次の署名を集め、提出する意向だ。署名用紙の申し込みは TEL 090-8294-0814(山口洋子さん)。
(野中大樹・編集部、7月22日号)