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需要は最高値、供給力は低めに見積もる経産省――需給調整契約使えば停電不要

2011年8月22日1:49PM

 来年春の全原発停止が現実味を帯び始めた。泉田裕彦・新潟県知事がストレステスト(耐性検査)をクリアしても原発再稼働を認めない趣旨の発言をするなど、原発立地県の知事が脱原発の姿勢を強めているためだ。

 これに対し経済産業省などの原発推進(温存)派は「原発再稼働をしないと、需要のピーク時に電力が逼迫し、計画停電の恐れもある」と危機感を煽る。この主張に根拠はあるのか、社民党はデータベースで検証しようとしている。

 七月二五日、社民党の福島みずほ党首は、経産省の資源エネルギー庁から「需給調整契約(緊急時調整契約)」や水力発電に関するデータを入手した。

「資料を請求してから約二カ月かかりましたが、『民間と民間の契約についての資料は出せない』と難色を示すエネ庁長官と七月二二日に電話でやりあった後、二五日に質問をすると通告したら、ようやく資料が出てきました」(福島氏)

 需給調整契約は、電力需要逼迫時に使用停止を要請できる大口契約のことで、その代わりに電気料金が安く設定される。これをピーク時に活用すれば、電力需要削減が可能となり、計画停電を避けられるというわけだ。

 資料によると、需給調整契約には、停止要請のタイミングの違いで「随時と一時間前」と「三時間前」の二種類があり、これを合計すると、全国で一〇〇〇万キロワット以上にも及ぶ。

「この需給調整契約を原発事故直後から使えば、春の計画停電をしなくて済んだ可能性は十分あります。今年の冬や来年夏の電力需要逼迫時にも活用できますので、原発再稼働なしでも十分に対応できるとみています」(福島氏)

 東京電力管内の最大電力需要は二〇一〇年の約六〇〇〇万キロワットで、その六分の一を需給調整契約で補うことができる。

「水力発電のデータも入手しましたが、渇水を理由に稼働率を六割としていました。一方で需要は過去最高の一〇年の値を使っており、需要は高めに見積もり、供給能力は低めに見積もる傾向が経産省にはあります」(福島氏)

 経産省が資料を出し渋ったのはデータベースで議論が進むと、原発を再稼働しなくても済むことが明らかになるためではないか。

(横田一・フリーリポーター、8月5日号)

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