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8・6の反核闘争の時期を狙ってか――三里塚のシンボルを強制撤去

2011年8月31日11:25AM

 八月六日午前三時すぎ、千葉県成田市の三里塚芝山連合空港反対同盟が所有する天神峰現地闘争本部(以下、現闘本部)に対し、千葉地裁は強制撤去に着手し、同日中に撤去は完了した。8・6ヒロシマ反核闘争に支援勢力が総出している留守を狙い、土曜未明、反対同盟の立会いのない状態で執行した。

 現闘本部は反対同盟の所有物だったが、一九九〇年に成田治安法によって封鎖され、以後二一年間、使用されていなかった。

 現闘本部は、三里塚闘争のシンボル的位置にある。また、隣接する敷地内農民の市東孝雄さんの畑とともに、誘導路をへの字に曲げているが、現闘本部を撤去しても、市東さんの畑がある限り空港は完成しない。今回の強制撤去も市東さんに威迫を加える意図があるようだ。空港会社は市東さんの農地を取り上げるための民事裁判を起こしているが、訴状における畑の位置が実際の位置と違っているなど、論拠が破綻しているからだ。

 撤去に先立つ五月二〇日、東京高裁(井上繁規裁判長)は、成田空港会社の求めに従い現闘本部撤去の判決を下し、最高裁判決を待たずに撤去できるという仮執行宣言をつけていた。そして、裁判所に出動を要請された警察は、裁判所構内で抗議していた反対同盟と支援者五〇人を「不退去罪」で逮捕。三八人が二二日間勾留されたが、全員が不起訴釈放になるという不当弾圧だった。この時、筆者も一緒に逮捕され、二二日間勾留された。その顛末は共生舎ホームページに詳しい。〈http://homepage3.nifty.com/kyouseisha/newpage43.html〉。

 この裁判は異例ずくめで、千葉地裁も東京高裁も、原告の空港会社側の最重要証人に対する反対尋問を認めず、証拠は現闘本部そのものであるにもかかわらず、それを調査しなかった。国家的要請の前に真実を隠す国策裁判と言われても仕方があるまい。

 国際的にはローカル空港に陥った成田を、ハブ空港へと浮上させるという国家的至上命題に、裁判所も拘泥したのではあるまいか。

(高見元博・ライター、8月19日号)

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