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権力闘争で混乱続く大阪産業大――学生が「授業正常化」求め提訴
2011年9月21日12:40PM
労使紛争などで混乱が続く大阪産業大学(大阪府大東市)で、今度は学生たちが授業の正常化と損害賠償を求めて大学当局を提訴するなど、新たな動きが表面化している。
八月三一日に、大阪地裁民事三部へ提訴したのは当面、経営学部アパレル産業コースの現役学生三人だが、原告側弁護団によると、「被告の不誠実な対応に対して不満を持つ学生保護者は多数にのぼっており、同様の追加提訴が多数なされる可能性が高い」という。
訴えの趣旨は、原告三人に対して損害賠償金約二三〇万円の支払いを求めるものだが、検定試験に備えて、刺繍をはじめ特別研修プログラムやテキスタイル素材の基礎研修など、必須科目に属する授業の正常化を求めているのが大きな特徴だ。
原告は去る七月二九日、弁護士を通じて、授業の正常化と損害賠償を求めたが、八月二三日付け大学側回答について「誠意ある回答と受け取れない」として、提訴に踏み切った。
大学側では「アパレル産業コースの特設科目は、いずれも適切に実施されている」との認識だが、学生たちは「希望があれば補習を実施すると今ごろ言われても、九月一〇日の実技試験には絶対に間に合わない」として、「この回答書は実情を知らない素人が、その場しのぎで書いたもの」と、不満を募らせている。
当面の焦点となっているのは、日本ファッション教育振興協会主催の「パターンメイキング技術検定三級」。この試験に合格すれば四単位が認定されるほか、色彩検定、ファッションビジネス能力検定など、諸資格の取得は事実上の必須で、学生の入学動機の大半を占めている。五年前、女子学生の獲得を通じて全学的な志願者増を狙った同大学の、いわば「看板」コースとされてきた。
だが、学内の権力闘争激化に伴い、推進役であった教授などの役職解任や自宅待機などが相次ぎ、嫌気のさした二、三年生を中心に退学者が続出した。
今回の提訴は、「権力闘争に学生を巻き込むな」という世論が高まる中で起こされたもので、警察出身者の大量配置で権力支配を強める大学当局への重大な警告といえる。
(たどころあきはる・ジャーナリスト、9月9日号)