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危うい沖縄県の文化行政――博物館・美術館館長人事の謎
2011年9月22日4:58PM
沖縄県那覇市にある県立博物館・美術館館長の人事をめぐり、現地のメディアや文化人の間で論争が起きている。発端は、今年四月一日付で同館の新館長に元公明党衆議院議員の白保台一氏が就任したことだ。
白保氏は一九九六年から衆議院議員を三期務め、館長に就任するまで公明党県本部の顧問を務めていた。二〇〇〇年には内閣府・沖縄振興局の政務次官に就任するなど、経済・福祉政策に精通していることで知られる。それだけに県立博物館・美術館の館長という“畑違い”のポスト着任には、関係者の間で「疑問点が多い」という声が上がっていた。博物館や美術館の運営には、歴史や文化、思想が体現される作品を扱えるだけの高い専門性が要求されるからだ。
公明党公認候補として白保氏が選出されたのは沖縄一区。自公協力体制の象徴区だ。しかし〇五年の郵政選挙において、独自候補擁立を目論んだ自民党と協議が難航。結局、白保氏が落選するという一幕があった。その後も自民党サイドから白保氏の“返り咲き”が叶うようさまざまな働きかけがあったが、どれも実現せず、〇八年、同氏は政界から退いた。
県立博物館・美術館を所管している沖縄県庁・文化観光スポーツ部の担当者は、白保氏の館長就任について、「管理運営に関する能力を有する者から知事が選任する、という県の規定に基づいています」と説明した。しかし『沖縄タイムス』東京支社・編集部長の与那原良彦氏は「白保さんの勇退で、公明党は沖縄一区を自民党に譲る形となった。同氏の処遇は、自公体制にひっかかる“とげ”のような懸案だったのではないか」と話す。
館長人事の背後に政治的配慮があるのか、その確認はできないが、「県立美術館のあり方を考える」シンポジウムなどを開き、問題提起してきた宮城潤さんは「館長人事のプロセスがあまりに不透明。どのような観点、手続きで選任されるのか、知事には説明をする責任がある」と話している。
(野中大樹・編集部、9月9日号)