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制度の根幹を揺さぶる国立市――住基ネット問う住民投票

2011年9月28日10:28AM

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)への再接続の可否をめぐり、住民投票の実施を定める条例制定を求めるシンポジウムが九月二日、東京都国立市で開かれた。

 国立市は、二〇〇二年八月に稼働した住基ネットにいったんは参加したが、個人情報保護とセキュリティ上の懸念から同年一二月に離脱。現在、福島県矢祭町とともに住基ネットに参加していない。

 今年四月の市長選挙では、住基ネットの再接続を訴えた佐藤一夫氏が初当選。〇九年には、住基ネットに接続していないのは違法として市を被告として住民訴訟が起こされている。

 今年二月には東京地裁が、住基ネットのサポート委託料についての支出差し止め、並びに当時の関口博市長に対し三九万八〇四〇円の賠償金支払いを命じた。佐藤市長はこの裁判の控訴を取り下げた上で、来年二月を目処に接続することを表明している。

 政府は今年六月に、「社会保障と税の一体改革」を名目とした共通番号制度の大綱を決定し、秋の国会提出を目指している。社会保障情報や納税者情報などが、共通番号にリンクされ、全国民・外国人の所在を特定できる住基番号が想定されている。

 シンポでは、関口氏が共通番号制度の下での民間開放で、預金通帳や個人情報が第三者にもれ、収入や病歴がデジタルデータとして残ることで、「やり直しのきかない社会」に陥る危険性を指摘した。

 国立市は、東京都から地方自治法に基づく勧告と二度の是正要求を受けていたが、関口前市長は切断の継続を表明してきた。

 共通番号制度では、水も漏らさぬ住民把握を運用の前提としているため、離脱自治体の存在は住基ネット以上に制度の帰趨を左右する。住民投票の運動は一一月に一カ月で一二〇〇人以上の有権者の署名を集め一二月に提出、来年一月の臨時議会で議員の過半数を得ることを目指す。国立市の住民投票で住基ネット切断が支持されれば、共通番号制度の運用はいっそう困難になる。

(宗像充・ジャーナリスト、9月16日号)

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