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性教育への政治介入――高裁も「不当な支配」と判断
2011年10月4日7:25PM
教育内容への政治介入を改定前教育基本法が禁じる「不当な支配」だとした、東京地裁の判決(二〇〇九年三月)を維持する判決が九月一六日、東京高裁(大橋寛明裁判長)で出た。
性教育を実践してきた東京都立七生養護学校(現・七生特別支援学校)に、古賀俊昭(自民)・土屋敬之(当時民主。のち日本創新党)・田代博嗣(自民。のち落選)の三都議が〇三年七月四日、視察と称して都教委職員と『産経新聞』記者を伴い来校。養護教諭らを、「こういう教材を使うのはおかしい。感覚が麻痺している」などと非難し、都教委は教材を没収した。 翌七月五日の『産経』は「過激性教育。まるでアダルトショップ」などと書いた記事を掲載した。その後、都教委は同校の教諭らを「厳重注意」し、三年間でほぼ全員を他校に異動させた。
地裁判決は、三都議の行為を「侮辱により教諭らの名誉感情を侵害。改定前教基法の禁じる『不当な支配』に当たる」とし、「厳重注意」については「一種の制裁的行為。職場での信用評価を低下させ、名誉感情を害する。都教委は社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用。違法というべき」と断じ、損害賠償を命じていた。
今回の判決はこれを維持し、新たに教育委員会の権限について「教員の創意工夫の余地を奪うような(中略)指示命令を行なうことまでは許されない」と加筆した。
ただ判決は、都教委による没収教材の返還、『産経』の報道への謝罪等の請求は認めなかった。
(永野厚男・教育ライター、9月23日号)