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放射性セシウムが検出された焼却灰――横浜市の海中埋設計画が凍結に

2011年10月11日8:30PM

横浜市南本牧の廃棄物最終処分場。「海には流れない」(横浜市)に説得力はない。(撮影/形山昌由)

 放射性セシウムが検出された焼却灰を、海中廃棄物処分場に埋設する横浜市の計画が、地元住民の反対運動によって凍結されることが九月一四日に決まった。横浜市は十分な安全性評価を行なったとするが、住民は不安の色を隠さない。事前説明もなく、行政の進め方に疑問が残る形となった。

 横浜市によると、下水汚泥の処理工程から発生する焼却灰一キログラムあたりに含まれるセシウムは最大で六四六八ベクレル。政府が示した埋め立て処分を可能とする八〇〇〇ベクレルを下回る。このため、一五日以降に南本牧埠頭の南端にある廃棄物最終処分場へ埋める予定だった。

 同市の計画に抗議してきた住民グループの渡辺純さんは、「国の放射線安全基準を安全とは思っていない。放射性物質を想定していない処理方法で処分することには到底納得ができない」と憤る。

 住民らが危惧している一つが、放射性物質で汚染された水が処分場を超えて海に流れ出る可能性だ。処分場の小川泰一所長は「海と処分場を隔てる外周護岸の遮水壁は幅が二七メートル。海底層には杭を打ち込んでいるため水は通さない」という。だが住民グループの伊藤由彦さんは、「遮水壁といっても海底の砂地の上に、鉄の箱を積んでいるだけの場所もある。外洋と処分場が完全に遮断されているとは言い難い」と反論する。

 市は漁業組合や港湾関係者など一部にしか事前説明をしておらず、こうした説明不足も住民の不信感に拍車を掛けた。

 横浜市の北部下水道センターの一角には、土嚢袋に詰め込まれた五〇〇トン分の焼却灰が積み上げられている。高橋愼治センター長は、「早ければ年内にも保管場所がなくなる」と危惧する。

 住民側は、当面の保管場所となる中間貯蔵施設の用意に加え、国と東電に対して焼却灰の処理を要請することなどを要望している。

(形山昌由・ジャーナリスト、9月30日号)

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