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デモの正当性と勾留の不法性訴え――不当逮捕者5人が釈放
2011年10月14日6:29PM
九月一一日に行なわれた「9・11新宿・原発やめろデモ!!!!!」(呼びかけ・「素人の乱」)で逮捕された一二人のうち、検事による勾留請求によって一〇日間の勾留をされた五人の、勾留理由開示公判が九月二〇日午後、東京地方裁判所で開かれた。
裁判官の人定質問に対して四人は応じず、一人は法廷で名乗ることを忌避。勾留を決めた伊藤敏孝裁判官は五人がそれぞれデモ警備中の警察官に暴行を加え、職務の執行を妨害した(公務執行妨害)という検察側の被疑事実を追認し、逃亡、証拠隠滅などの理由から勾留を決定した旨を述べた。
デモ当日は隊列の車道側だけでなく、歩道側にも警官が並ぶ「過剰警備」。警官隊がデモ隊列をサンドイッチ状に挟み込み、参加者の用便や水分補給のための出入りを規制する不当な警備体制だった。これを「通常のもの」と考えていた伊藤裁判官はその認識の誤りを弁護士から指摘されると、自らの認識不足を認めるというきわめて珍しい場面があった。
黙秘を続けていた被疑者らは陳述では一転して、原子力発電の非人道性とデモ表現の正当性、被疑事実の虚偽、警察官からの執拗な暴行虐待、警察・検察・裁判官が一体となった勾留決定の不法性を見事に喝破した。それに黙した裁判官に対して、ある被疑者は「黙秘ですか?」と問いかけるなど、あたかも壇上にいる裁判官が「罪人」のように映った。
このような被疑者たちの法廷内での闘いを傍聴人たちが後方から支援した。暴行によるケガの状態を調べもしなかった裁判官の怠慢、五人の人々が自由を奪われる決定を出した責任への無自覚を弾劾するヤジ、怒号が巻き起こった。
通常は退廷を命ぜられるところだが、支援者らの気迫が被疑者の怒りと一体となって法廷の空気を制し、裁判官は職権の行使を躊躇する異例の事態となった。その甲斐あってか勾留延長はなく、二二日午後、五人は釈放された。
(竹内一晴・ライター、9月30日号)