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結論は来年度予算に反映――前田国交相が初視察
2011年10月27日5:16PM
前田武志国土交通相は一〇月八日、八ッ場ダム建設予定地(群馬県・長野原町)を初視察した。移転済み代替地と不動大橋近くの高台にて、八ッ場ダム工事事務所長らの説明を受け、群馬県庁内では大澤正明県知事や高山欣也長野原町長らとの会談に臨んだ。
政権交代以来、現地視察に訪れた国交相は四人目。前田国交相は「責任者が次々と代わり迷惑をかけている」などと謝罪した。
今回の最大の焦点は、就任直後の大臣会見や民主党の動きで「建設継続か中止かの最終判断時期を今秋までに出す」と歴代国交相が約束した時期が先延ばしになるのではないかとの懸念に対し、国交相がどう答えるかだった。
大澤知事がこの点を尋ねると、前田国交相は馬淵澄夫元国交相の発言を踏襲し、「具体的にいつとは申しあげられないが、一二年度予算に反映できるよう目標を守る」と述べた。この回答について、知事側は視察終了後の会見で、一定度の評価を示した。
続いて高山町長が、最終決定権限が国交相にあるのか政府・民主三役会議にあるのかを質したところ、前田国交相は「秋までに」という前任者の見解は「来年度予算に反映させるという意味」であると述べ、「検証スキームでは大臣が最終決定することになっている」と断言した。
前田国交相はまた、「激烈な大災害、自然の猛威を検証に反映させる必要がある」と言及。大災害時にダムがもたらす影響などに関する資料や調査結果を集め、河川局の意向なしの、事務次官直属の検証機関を設置する方針も明らかにした。
ただ、川原湯温泉街は車窓からの視察のみとなり、事前に「お会いできる方ならどなたにでも」との意向を示していた大臣の言葉に期待していた住民は誰一人、苦境を訴えられなかった。
前田国交相は会談後の記者会見で、「現地は推進一色ではなく、震災復興費に回すべきとの意見もある。車座集会のようなことへのお考えは?」との質問に対し、「できればそういう機会が得られればいい」と前向きな取り組み姿勢を示した。
八ッ場問題は当分続きそうだ。
(鈴木郁子・ライター、10月14日号)