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「被害者なのに加害者扱いだ」――福島の農家らが農相に訴え
2011年10月28日8:01PM
東京電力の福島第一原発事故によって壊滅的な打撃を受けた福島の農家。一〇月三日、福島県原木椎茸生産者の会の農家や県議会議員、JA職員らが上京し、鹿野道彦農林水産相や地元選出国会議員、東京電力に損害、被害額の早期完全実施や風評被害対策を求める緊急要請書を手渡した。
生産者の会会長の国分進さんは「福島県阿武隈の原木は日本最大の原木地帯。昔から日本の里山を守ってきた。現在は椎茸生産者農家は収入が絶たれ、日々の生活に困窮している。この状態が長期化すれば、これまで培ってきた本県の原木椎茸生産が途絶え、ひいては中山間地の維持や森林の保全に大きな支障をきたすと言っても過言ではない」と状況を訴えた。
同会副会長の添田政光さんは「農家は被害者なのに、まるで加害者のような扱いを受けている」。また、同じく農家の遠藤しのぶさんは「収入がない中、明日何を食べるか(考えるのが)苦痛。除染作業に若い子を雇っているが、(若い人は健康被害を受けやすいので)雇っていいのか分からない」と心情を吐露した。
国分さんは「東電と国がばらまいた放射能なのに、なんでわれわれ農家が悪者にならなくてはいけないのか」と指摘し、「東北に農作物もエネルギーも頼ってきた巨大都市は、自分の胃袋ばかり考えている」と憤る。
一〇月一六日には「土と平和の祭典2011」が東京都立日比谷公園で開催される。会場では歌手の加藤登紀子さんらが東北の農家や子どもたちを応援するトークやイベントを多種繰り広げる。生産者と消費者が向き合い、ともに出口に向かう一歩になる。
(魚住葉子・ライター、10月14日号)