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被曝線量と死因に因果関係はない?――作業員「死因」公表拒む東電
2011年10月31日6:20PM
一〇月一一日に行なわれた「政府・東京電力統合対策室の共同会見」で筆者は、一〇月六日に死亡した三人目の作業員について東京電力原子力立地本部長代理・松本純一氏に問いただした。
――なぜ東京電力は即日、「被曝と死亡との因果関係はない。過重労働にもあたらない」と発表できたのか?
東電 作業の実態と被曝線量の結果から見て、今回の作業との因果関係はないだろうと判断した。
――この作業員に司法解剖もしくは行政解剖等は行なわれたのか?
東電 私どもは発注者だが雇用関係は直接ないので承知してない。
――亡くなった作業員の死因は?
東電 個人のプライバシーの問題があるので公表は差し控える。
わずか半年の間に危険な作業所内で三人もの死者が出ているにもかかわらず、東電側はかたくなに三人目の死因の公表を拒み続けた。
この作業員は、一〇月五日の朝礼時に倒れて救急搬送され、翌六日の早朝に磐城共立病院で死亡したという。東電はそのわずか半日後には作業と死亡の因果関係を否定したことになるのだが、これほど短時間の間に、なぜそのような判断ができたのか。
本来であれば解剖を行ない、医学的な各種検査を経た上で死因が判断されるべきもの。東電の対応は、諸外国の死因究明制度に比して到底あり得ないことである。
内閣府大臣政務官の園田康博氏に、こうした東電の対応を国としてどう評価するのかと問うたところ「対応については、東京電力さんの方にお任せしています」という、耳を疑うような答えが返ってきた。驚いた筆者は、思わずこう切り返した。
「そのような政府の考え方は大問題。たとえば時津風部屋で力士が亡くなったが、その死因をすべて親方に任せますと言っているのと同じことではないのか?」
二日後の会見では、この作業員に対し「死亡診断書」が発行されていたことが、東電側の回答によって明らかになった。が、死亡診断書は異状死届を警察が受理していない場合に発行されるものであり、この事実からすると、検視も司法解剖も行なわれていないことになる。
三人目の作業員の死は、なぜこれほどずさんに処理されたのか。真実は、国が率先して明らかにすべきだろう。
(柳原三佳・ジャーナリスト、10月21日号)