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身内を守り続ける検察庁の背任――暴行した検事正「不起訴」に
2011年11月4日6:32PM
行きつけのスナックで暴れ、店の従業員や他の客に暴行を加えたとして、告発を受けていた粂原研二前水戸地検検事正(現在は最高検に赴任)に対し、東京地検は一〇月一三日、不起訴処分(起訴猶予)という判断を下した。
粂原氏は今年二月一四日、水戸駅近くのスナックで、同席した他の客の顔をマイクで叩く、部下を足蹴りにする、NHK女性記者の髪を引っ張る等の暴行を働き、店のビール瓶やグラスが割れるなどした。(詳細は本誌九月二日号)
粂原氏はその後、何の処罰も受けていなかったが、七月、元大阪高検公安部長の三井環氏が検事総長に告発状を提出したことで、この「事件」は東京地検にて扱われることになった。
今回の判決について三井氏は「常識的に考えて、粂原氏の行為は完全なる威力業務妨害。一般人が同じことをやれば起訴される内容だ。検事正(当時)であれば、こういう裁きが下されるのか」と憤った。
東京地検は、不起訴にした理由の一つを「被害者全員が処罰を望んでいない」としているが、これにも疑問が残る。
粂原前検事正が騒動を起こしたスナックは水戸地検の検事ら御用達の店である。日常的に付き合いのある店の従業員はおろか、被害に遭った他の客は「処罰を望む」とは、言いにくい環境にある。
さらに今回の被害者にはNHKなどの記者が含まれている。ジャーナリストの責務を果たさずに、処罰も望まないとすれば、権力との癒着としか言いようがない。
三井氏はこの案件を、検察審査会に申し立てる意を示している。
(本誌取材班、10月21日号)