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ついに憲法審査会が始動――復興のどさくさに改憲推進

2011年11月8日5:31PM

「憲法改正の必要はない。実質的な大連立が進んでいる」と、発言する福島社民党党首。(写真/平井康嗣)

 国会対策という名の下、憲法改正の法的仕組みがついに整った。一〇月二一日午前に衆参本会議で憲法審査会会長が互選されたのだ。今後、審査会は憲法改正原案を審議していくことになる。

 これまで民主党は、参院憲法審査会の「規程」制定に協力してこなかった。だが、五月一八日に民自公”翼賛” で採決。そして臨時国会初日の二〇日、憲法審査会を開催するための議運理事会が開かれ、民主、自民、公明、みんなの党から委員名簿が提出されたのである。当初、社民と共産は名簿提出に反対したが、共産は同日、衆院に笠井亮、参院は井上哲士を選出。社民も翌日、衆院に照屋寛徳、参院は福島みずほを選出した。

 二〇日には護憲・平和団体らが議員会館内で集会を開き、社共の国会議員も参加。共産党中央委員会書記局長の市田忠義参院議員は「民主党は完全に自民党の軍門に下った。憲法問題を国会対策、党利党略に利用した。これは許せない」と指弾した。

 今の民主は大勢では自民同様に改憲推進だ。国会対策の妥協というのもあくまでも民主にとっては渡りに船。政権交代時の小鳩体制では改憲論議は封じ込められており、民社グループなど党内改憲派からは不満が出ていた。しかし、菅、野田政権を経て改憲議論の防波堤になっていた党憲法調査会の委員長人事に手がつけられた。先頃、武器輸出三原則緩和発言をしたタカ派の前原誠司を就任させたのだ(二六ページに関連)。

 唐突感が否めない今回の憲法審査会だが、「水曜日に急遽議運理事会が開かれた」(服部良一衆院議員=社民)、「説明がなかったのに事務方から名簿を出せと言われた。小会派と議論もしてない」(吉田忠智参院議員=同)と議論不足の拙速な国会運営が問題視されている。

 憲法審査会では、反対論が強い九条よりも九六条の憲法改正手続きの緩和が、当面の論点になるとも言われている。 (一部敬称略)

(平井康嗣・編集部、10月28日号)

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