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日弁連が被災地でのアンケート結果を発表――東電補償金で生活保護打ち切り
2011年11月14日5:36PM
日本弁護士連合会は、一〇月二四日、東日本大震災の被災地に対して行なった生活保護に関するアンケート結果を発表した。
福島県南相馬市で義捐金等の受取りを理由に生活保護費が打ち切られた問題が六月に明らかになったのを契機に、青森、岩手、宮城、福島、茨城と各県の福祉事務所計一三一カ所を対象に調査し、回答率は七割を超えた。調査内容は、震災前後の生活保護受給者と世帯数の変化、生活保護停止・廃止の数、そのうち義捐金や東電からの仮払補償金を収入と見なした数などである。
その結果、三月一一日以前と八月一日時点の需給世帯や人数は、五県全体で三八六件の微増で、岩手、宮城、福島では減少した。ただし福祉事務所ごとに見ると、七五%減だった南相馬市をはじめ、福島県相双地区、宮城県気仙沼市、岩手県陸前高田市などでは二割~五割の減少となる。
計四二八八世帯の停止・廃止理由のうち約一割にあたる四五八世帯が、義捐金や仮払補償金が「収入」と見なされたケースだ。自治体別では、義捐金・仮払補償金を収入と見なして保護停廃止を行なった四五八世帯のうち五割が南相馬市だった。
厚生労働省社会・援護局保護課は、今年五月二日、生活保護申請に必要な「自立更生計画書」を記載する際、自立に必要な経費として使った義捐金や仮払補償金を「収入」と見なさないよう自治体に対して通知したが、日弁連は「通知の趣旨が徹底されていない」「実質的な説明がなされていない」と分析している。自立に必要な経費とは、運転免許など就業に必要な資格取得、教育費、介護など。
南相馬市について、厚労省保護課担当者は「(南相馬市役所に)電話をすると、生活保護担当者が遺体搬送や遺体安置所確保に行っていたなど、いくつもの役割をこなしていた。私見だが、物理的な問題があったかもしれない」と語った。
震災・原発事故に伴う生活保護に関する通知の周知徹底にかかる行政コストの補償について、原因者の一角である東電は、「どういった状況かわからないが自治体の皆様とはご相談させていただければ」(松本純一原子力・立地本部長代理)と説明している。
(まさのあつこ・ジャーナリスト、11月4日号)