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巨額買収疑惑で社長交代――オリンパス 問題の「経営手法」
2011年11月16日11:06AM
英国人社長マイケル・C・ウッドフォード氏(五一歳)を突然解任したのをきっかけに、巨額の買収疑惑が問題となっているオリンパス(株)(高山修一代表取締役社長、本社・東京都新宿区)。野田佳彦首相が英紙『フィナンシャル・タイムズ』(電子版)のインタビュー(一〇月三〇日付)で異例の「懸念」を表明するなど波紋が広がっている。
そもそも「経営手法の違い」を理由にウッドフォード氏を解任した同社だが、その実態は明らかに英医療機器企業ジャイラスと国内非公開企業三社の買収についてウッドフォード氏が経営陣を批判したからだ。同社では過去にも、内部告発により上司の行動を報告した社員に対して報復的な配置転換をして法的問題になっている。
オリンパス男性社員のH氏は二〇〇七年六月、社内通報制度にのっとり上司の問題行動を通報したことで、同年一〇月に一方的な配置転換を命じられた。配転後のパワハラもすさまじく、「H君教育計画」と称して顕微鏡についての分厚い本を毎日読ませられては定期的に”テスト”を受けさせられたという。
H氏は配置転換の無効確認と損害賠償を求めて提訴。一審は請求が棄却されたが、東京高裁は今年八月三一日、「配置転換は人事権の濫用」としてH氏の請求を認める逆転勝訴の判決を出した(賠償を命じられたオリンパスは最高裁に上告)。
二〇〇六年四月には内部告発をした労働者を保護する公益通報者保護法が施行しているが、内部からの疑問や指摘に対して排除したり押さえ込んだりする企業文化が同社にあるとすれば、そうした「経営手法」こそが問題ではないか。
(オリンパス取材班、11月4日号)