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育鵬社版教科書押しつけで――地元・八重山住民が猛反発
2011年11月16日7:25PM
沖縄・八重山地区では、来年度から使用される中学校公民教科書が、いまだに最終決定していない。同地区の三つの教育委員会のうち石垣市と与那国町が育鵬社版、竹富町が東京書籍版と、採択が分かれた。そこで九月八日、三教育委員会の全員協議が開かれ東京書籍版を採用することに決まった。
ところが、石垣市と与那国町の両教育長は「協議は整っていない」と中川正春文科大臣に「直訴」していた。これを受け、中川大臣は一〇月二六日の衆議院文部科学委員会で「石垣市と与那国町に対しては教科書の無償給付の対象とし、竹富町は無償給付の対象とならないが、地方公共団体自ら教科書を購入して生徒に無償で給付することができる」と発言した。もし、この通り実施されれば、竹富町では制度実施以来初めて無償教科書を受け取れない事態となる。この発言に地元は猛反発。翌二七日には「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」と沖縄県教職員組合などが相次いで「抗議声明」を発表した。
八重山の問題がこじれた要因の一つは、教科書採択権は個々の教育委員会にあるとした地方教育行政法と、採択地区では同一の教科書を採択しなければならないとする教科書無償措置法の不整合にある。本来なら、その不整合状態を長年放置してきた文科省の責任を大臣が関係者に謝罪するのが先決のはずだった。
高嶋伸欣琉球大学名誉教授は、この発言で「ここが現在の民主党政権の限界。やはり『第二自民』政権なのだという思いさえしてくる」とした上で、「普天間問題を含め、これらの沖縄問題に共通しているのは年来の差別構造から発出しているということ。本土側の当事者はそうした構造的な意味を理解すべきだ」と指摘する。
(糟谷廣一郎・編集部、11月4日号)
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