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「三菱は原発でなく商船の建造を」――神戸での造船継続望む地元
2011年11月24日4:50PM
「黒字なのに商船建造を止め、原発と潜水艦の製造に特化するという三菱重工に抗議し、平和の港・神戸を海から見よう」という「港めぐり」イベントが一一月三日、「神戸の造船を残そう連絡会」など有志の企画で行なわれた。
「非核神戸方式」で知られ、平和のイメージが強い神戸だけに、「造船所で原子炉を製造していたとは知らなかった」という人など、他産業の関係者も含めて多数の人が駆けつけた。
日本一の軍需産業といわれる三菱重工が「神戸造船所の商船建造部門を長崎と下関に移管、神戸は原発と潜水艦に特化・拡充」の合理化計画を発表したのが、昨年七月。矢田立郎神戸市長も「神戸の象徴としての造船の継続を」と二度にわたって要請し、関連する労働者だけでなく、地元商店街や地域住民なども陳情や署名運動などに立ちあがっている。
原子力部門は福島第一原発事故後に「仕事が減少」し、また原子力に代わる発電燃料としてLNG(液化天然ガス)が脚光を浴びている。輸送用船舶は世界で一〇〇隻が必要とされているだけに、「平和・成長産業とされる商船建造の継続」を望む声が強い。
三菱重工の原子炉製造は神戸に集中しており、これまでに納入した原発プラントは、全国五七基(日本原電の四基を含む)のうち二四基。うち北海道電力(泊原発の三基)、関西電力(美浜原発の三基、高浜原発の四基、大飯原発の四基)、四国電力(伊方原発の三基)、九州電力(玄海原発の四基、川内原発の二基)を三菱系で占めており、日本原電の敦賀二号機も三菱重工が手掛けている。
友人に誘われて参加した女性は「造船の火が消えれば街の灯も消える」としんみり。遊覧船の発着場では若い男性従業員が「造船所に船がなくなれば何を見せるのか」と、商船建造の存続を求める署名用紙を何枚も受け取った。
(たどころあきはる・ジャーナリスト、11月11日号)