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クラスター爆弾禁止条約――米国が「骨抜き条約」提案
2011年12月7日6:55PM
国際NGOネットワークのクラスター兵器連合は、クラスター爆弾に関する一年間の動きをまとめた『クラスター爆弾モニター報告2011年版』を一六日に発表した。
報告によればこの一年間に、オーストリアなど一一カ国が、保有するクラスター爆弾(六四五〇万発の子弾)すべてを廃棄。紛争後に残されていた不発弾は、一六カ国で約六万個が撤去され、一八・五平方キロメートルが安全になった。一方、約一万七〇〇〇人の新たな被害が確認され、被害者の多くは支援を受けられずにいる。さらにリビアとタイの二カ国がクラスター爆弾を使用し、国際的な非難を受けた。
クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)は、禁止行為への「支援」も禁じており、「支援」には製造企業への投融資も含まれるため、イタリアなど五カ国が国内法で投融資を禁止した。日本は条約締約国だが国内法で投融資を禁止しておらず、日本の大手銀行はすべての製造企業への投融資を行なっている。だが、全体としてオスロ条約の成果は着実に表れている。
一方、気になる動きもある。
特定通常兵器使用禁止制限条約を五年ごとに見直す第四回検討会議が一四日からスイス・ジュネーブにて行なわれ、米国が一九八〇年以前に製造されたクラスター爆弾を禁止し、八〇年以降の製造で不発率一%以下のクラスター爆弾の使用等は禁止しないという代案を提出した。この提案が通れば、イスラエル製のM85子弾やスペイン製のMAT-120迫撃砲弾の使用が認められ、オスロ条約が禁止するクラスター爆弾でも使用可能となる。これは、オスロ条約の精神を著しくおとしめる提案だ。
一一一カ国が賛同し六六カ国が批准したオスロ条約があるのに、それより規制の弱い条約など不要である。私たちは米国案が採用されないよう今後も注視していく。
(内海旬子・地雷廃絶日本キャンペーン事務局、11月25日号)