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岩川元町長“”買収事件”控訴審――検察筋書き覆す「日記」

2011年12月8日6:38PM

 秋田県旧鷹巣町の元町長・岩川徹氏が二〇〇九年の北秋田市長選挙で、運転手兼道案内料として二階堂甚一氏に二カ月分計三〇万円を渡したことが選挙法違反とされた事件の控訴審が仙台高裁秋田支部で一〇月二六日に開かれ、新展開があった(一審有罪判決の記事は四月一五日号参照)。

 逮捕状請求理由や起訴状では、「〇九年二月一六日に岩川が一人で自家用車を運転して、ローソン米内沢バイパス店駐車場で二階堂甚一を車内に呼んで買収資金授受」とされている。だが「二月一六日」は支援者・細田英美氏の運転で終日回っていたことを示す「細田日記」を、二審の裁判長が証拠採用した。

 日記は一審でも提出されたが、馬場純夫裁判官は判決理由の中で、日記の信用性について言葉を濁し、細田氏の法廷証言も葬った。

 記録魔と言われる細田氏。(1)予定のみのスケジュール帳、(2)出来事を振り返る日記帳、(3)秘密の感想帳、の三冊を使い分けている。〇九年六月に北秋田署に呼ばれた時は、その年の(1)スケジュール帳を持参し、警察はコピーした。約二週間後の検察官細田供述調書には「二月一六日には岩川さんの運転手をしていないはず」との記述と押印がある。

 細田氏はこの日、「岩川氏の運転手」の話が突然だったので(1)のスケジュール帳に記載し損なった。しかし(2)の日記帳の二月一六日欄には「小生、岩川てつの応援のため運転(下舟木~米内沢~下舟木)」と活字のような文字で記録した。

 警察も検察も(2)の日記帳の存在は想定外。(1)のスケジュール帳に基づいた細田氏の記憶違いの供述を鵜呑みにした。

「二月一六日の出来事」は二階堂供述調書に出てくるが、同氏によれば「この日では……」と誘導され、長期取り調べの最終時に調書化されて、しぶしぶ署名捺印したという。今回、裁判長が(2)の日記帳を証拠採用したことで、検察の筋書きが崩れる可能性が出てきた。

(大熊一夫・ジャーリスト、11月25日号)

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