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「エネルギーシフト」を骨抜きにする人事案――枝野経産大臣は官僚“操り人形”か

2011年12月20日9:13AM

 枝野幸男経済産業相が一一月七日に国会に提出した「再生可能エネルギー促進法案」を骨抜きにする人事案が波紋を呼んでいる。

人事案とは、再生可能エネルギーの買取価格と買取期間を決める「調達価格等算定委員会」のことで、五人の委員のうち三人が買取制度に否定的な委員で占められていたのだ。進藤孝生新日鉄副社長、山内弘隆一橋大教授と山地憲治元東大教授のことで、進藤氏は委員長就任が有力視されている。

野田佳彦首相は「TPP(環太平洋戦略経済連携協定)交渉参加」から「参加に向けた協議に入る」に方針変更をしたが、宗像直子経済産業省通商機構部長はそれを反映させない文書だけを作成。枝野大臣はその文書を持ってAPEC(アジア太平洋経済協力)の交渉に臨み、米国側に「全物品・サービスを交渉のテーブルに載せる」という誤った方針を伝えた疑惑が浮上。しかも、この事実誤認の内容が米国のホームページに掲載されたままになっているのに、枝野大臣は訂正も求めていない。

 枝野氏は官僚の“操り人形”と化してしまったのだろうか。今回の人事案について青山学院大学の水野敏郎教授は「エネルギー多消費型産業の代弁者である進藤氏は利害関係者で、買取価格を安く抑える可能性があり、再生可能エネルギーを拡大させるという法律の本来の目標が達成できなくなる恐れがあります」と話す。

 菅直人前首相を支えた梶山恵司前国家戦略室内閣審議官もこう批判する。「枝野大臣の周辺は、再生可能エネルギー拡大や脱原発依存を望ましく思っていない官僚が事務局を固めています。今回の人事案も、官僚が水面下で動いた可能性は高い」。

「みんなの党」の渡辺喜美代表が行革担当大臣をした際、古賀茂明氏と原英史氏(両人とも元経産官僚)が脇を固め、政治主導で公務員制度改革基本法を通した。なぜ枝野大臣は、この例を参考に“チーム枝野”を作ろうとしないのか。「枝野氏は自信過剰で、一人で官僚をコントロールできると思っているのでしょう。しかし一人では無理です」(梶山氏)。

 学習能力のない枝野大臣は、自らが再生可能エネルギーの拡大を阻む存在になっていることにまったく無自覚のようだ。

(横田一・フリージャーナリスト、12月9日号)

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