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「自主的」避難者の経済的困窮を防げ――環境団体などが政府と東電に署名提出

2011年12月20日4:05PM

 国際環境団体のFoEなど二団体は一二月五日、原子力損害賠償紛争審査会と東京電力に対し、福島原発事故で国が指定した「警戒区域」「計画的避難区域」外の市町村から県外に避難した「自主的」避難者について、避難費用の実費支払いを中心とした損害賠償の支払いを求める署名を提出した。

 東電への賠償額や支払い対象についての判定指針を策定する同審査会は、一一月二五日に開かれた会合で、「自主的」避難者と残留者を一律同額に賠償する方向で論議。さらに賠償金が支払われる期間についても、この一二月までという案が有力になっている。ちなみに東電側は結論を審査会の決定に預け、現在まで「自主的」避難者への損害賠償を拒否している。

 だが同二団体が九月から一〇月にかけてメールなどを使い実施したアンケート調査(回答者二四一人)によると、「自主的」避難者は引っ越しや交通費等で一家族平均約七二万円の出費を強いられていることが判明。さらに避難家族にとって退職・転職に伴う収入低下も、深刻な問題になっている事情が浮き彫りになっている。

 今後、賠償金が残留者と一律同額になった場合、賠償の範囲がきわめて限定され、「自主的」避難者の経済的困窮がさらに深まることは確実だ。このため、短期間ながら二六一四筆集まった今回の署名では、(1)一律一括ではなく避難費用の実費がカバーできる賠償額とする(2)賠償期間は、最低二年間とする――の二点を求めている。

 署名が提出された五日には、衆議院第二議員会館で「自主的」避難者ら六人の記者会見が開かれた。そのうち福岡県に避難している主婦は、「夫を残したまま、子どもを被曝させないため母と子だけで福島を離れた。経済的に限界で、福岡に夫が月一~二度訪ねにくる交通費の負担も大きい。避難したくてもできないでいる多くの県民のためにも、適正な賠償額を決定してほしい」と訴えた。

 また、東京都内に「自主的」避難をした主婦は、「事故後、子どもが大量の鼻血を何度か出し、これでは被曝から守ることはできないと思って避難を選択した。家のローンも残っているが、子どもの命には代えられない。避難の必要経費は国と東電が支払うべきだ」と強調した。

(成澤宗男・編集部、12月9日号)

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