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「定年」雇止めにあったゆうメイト――郵便事業会社を提訴

2012年1月12日6:13PM

 郵便事業株式会社(日本郵便、鍋倉眞一社長)が期間雇用社員(ゆうメイト)四万人を切った問題で、一二月九日、雇止めに遭った五人が地位確認(雇止め無効)を求める裁判を東京地裁に起こした。

 提訴した五人は、ゆうメイトにも定めた「六五歳定年制」の就業規則にもとづき、九月末に職場を追われていた。雇止めされた人のうち、六五歳で切られた人は一万三六九四人にのぼる。

 提訴後の会見で、花見川支店(千葉県)の集荷処理センターで六年間、小包を仕分けしてきた向山俊一さん(七四歳)は、「採用された時『体の続く限り働いて』と言われた。それを、説明もなく紙キレだけで切った。誠意がなく、あまりに一方通行だ」と怒った。

 佐野支店(栃木県)で集荷や配達などに従事してきた丹羽良子さんは、「私は(半年契約を)一四回更新されたが、雇止めに遭った。仕事を奪われ、月一〇万円にもならない年金では生きていけない。会社に言われてスキルを磨いてきたのに、一顧だにされず悔しい」と唇を噛んだ。

 原告代理人の萩尾健太弁護士は、「定年制は正社員の長期雇用とセットで初めて合理性をもつもので、非正規への適用は公序良俗違反だ。原告らの契約では、契約更新は新規採用と位置づけられているが、年齢差別の採用拒否は雇用対策法に違反する。『有期雇用労働者の定年制』はおかしい」と説いた。

 長谷川直彦弁護士は「年金支給年齢が上げられようとしているなか、高齢でも働ける環境づくりこそ必要だ」と強調した。

「生活が苦しく裁判もできない人も多い」(丹羽さん)なか、萩尾弁護士は「原告五人は切られた一万三六九四人の代表」と述べた。

 裁判を支援する郵政労働者ユニオンによれば、雇止めに伴い日本郵便の一部支店では人手不足で郵便物を配りきれない事態が発生し、出勤簿改竄もあった。年賀状配達の混乱や、残業続きの労働者の心身の病気も懸念されている。

(北健一・ジャーナリスト、12月16日号)

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