過労死防止基本法の実現へ――一〇〇万人署名スタート
2012年2月7日12:36PM
「一〇〇万人署名の達成で、過労死防止基本法の制定実現を」と、全国一斉の街頭署名宣伝が一月二一日、本格スタートを切った。
昨年一一月一〇日、社員が過労死認定を受けた企業名を大阪労働局が開示しなかったことを不当として公開を求めた訴訟で、大阪地裁は開示を命じる判決を出していた。署名活動では、「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表をはじめ、遺族、弁護団、支援者ら約三〇人が、JR京阪・京橋駅前で、「国の責任で一日も早く実効ある過労死対策を」と、署名への協力を訴えた。
過労死防止基本法制定実行委員会によると、二〇一〇年に労災認定されたのは、過労・ストレスによる脳・心臓疾患が二八五件(うち死亡一一三件)、過労による精神疾患三〇八件(うち自殺六五件)となっているが、「労災申請される事案は氷山の一角で、過労死・過労自殺の犠牲者は数万人に達する」とみられる。また、年間二五〇日以上の就業者約二〇一九万人のうち“過労死ライン”とされる週六〇時間以上の就業者数は約五一八万人と、二五・七%を占めている。このうち、働き盛りとされる三五~四四歳が二八・九%と、最大の層を構成している。
こうした実態と運動の盛り上がりを反映して、国会でも超党派の議員立法で過労死防止基本法を制定する動きが加速している。衆議院厚生労働委員の長尾敬議員(民主党)も、「一〇〇万人署名が世論と国会を動かす。家族会の涙が、いい涙になるように」と話す。
(たどころあきはる ジャーナリスト、1月27日号)