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黒岩知事が瓦礫受け入れ――「支援にならない」と住民反発

2012年2月10日8:08PM

横須賀市芦名の住民に瓦礫受け入れの「安全性」を説く黒岩知事。(撮影/編集部)

 震災瓦礫の受け入れを開始している山形県、東京都に続き、神奈川県の黒岩祐治知事も「被災地の復興支援」を名目に受け入れを表明した(昨年一二月)。しかし、放射性物質に汚染された瓦礫を受け入れることに地元住民の間では不安と怒りの声が広がっている。

 県が受け入れる方針を示しているのは、放射性セシウムの基準が「一キログラムあたり一〇〇ベクレル以下」の可燃性瓦礫。この数値は、原子力関連事業者に定められた原子炉等規制法の「一〇〇ベクレル以下は放射性物質として扱わない」という規定に基づいたもの。しかし受け入れ量が多くなれば放射性物質の量も多くなり、さらに、焼却すると放射性物質濃度は最大で三三倍まで濃縮する。

 また、焼却灰の埋め立て予定地である横須賀市芦名の「かながわ環境整備センター」の建設には、発表(一九九四年)から完成まで一〇年以上かかるという、住民を二分する争議を伴った。今回の知事による「瓦礫受け入れ」表明後、地元住民に「また地域が分断される」という危機感が再燃した。

 一月一五日に横須賀市の芦名コミュニティセンターで開かれた黒岩知事による説明会には約五一〇人が参加。「(住民には)放射能アレルギーがある」「被災地の復興支援のために」と繰り返す知事に対し、住民からは「復興を妨げる意図はない」「瓦礫受け入れは被災地支援にはならない」「被災地が潤う支援を」など批判が飛び交った。二〇日に横須賀市内で行なわれた対話集会では「帰れ」コールまで出た。

 二二日に東京都大田区で行なわれた「災害廃棄物の受け入れ問題を考える集い」には、俳優の山本太郎さんも登壇。瓦礫受け入れに多数の産廃業者と政治家の利権が絡んでいるとの報告に、「チームプレーで対抗していきましょう」と連帯を呼び掛けた。

(野中大樹・編集部、1月27日号)

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