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東京地裁で予想外の全面敗訴――土肥元校長は即控訴

2012年2月15日7:42PM

 非常勤教員採用試験で意図的に不合格にされたことなどで、東京都立三鷹高校の土肥信雄元校長が東京都教育委員会を相手取り東京地裁に起こしていた損害賠償請求は、一月三〇日、予想外の全面敗訴となった。予想だにしていなかった「不当判決」という文字が広げられた時、勝訴を信じていた支援者からは落胆の声が漏れた。

 都教委は二〇〇六年、都内の公立学校に「職員会議での挙手・採決の禁止」を通知した。これに対し、都教委の弾圧を恐れたモノ言わぬ校長たちのなかで唯一「学校から言論の自由が消える。撤回すべき」と訴えていたのが土肥元校長だった。そして非常勤教員の採用試験では、受験者七九〇人のうち最下位で不合格となる。

 土肥元校長は全校生徒約一〇〇〇人の名前を覚え、毎朝昇降口で挨拶をしていた。離職にあたっては生徒から卒業証書や色紙をもらう、そんな土肥元校長を都教委は否定したのだ。

 今回の裁判は、六〇歳からの五年間で非常勤教員として得られるはずだった報酬と慰謝料の計一八五〇万円を求めるものだったが、それは表向きの話。裁判前、担当の吉峯啓晴弁護士が「損害賠償だけなら勝てる」と告げたが、土肥元校長は「世間に都教委の異常さを明らかにしたい」と、あえて都教委が行なってきた弾圧の九事項を争点にしてきた。

 たとえば文化祭での生徒の展示物への介入、絶対評価であるべき教師への業績評価を相対評価にと指導したこと、そして職員会議での挙手・採決の禁止などだ。

 都教委が原告への反対尋問を放棄し、終始、土肥元校長と逆の証言をするという異常な裁判だったが、支援者は勝てると信じていた。

 一つには、東京都世田谷区立小学校の大嶽昇一教諭が、〇四年度の業績評価で受けた最低のC評価は不当だと訴えた裁判で、一〇年五月に勝訴判決を出したのが本裁判の青野洋士裁判長だったからだ。だがなぜか結審直前に古久保正人裁判長に代わり、土肥元校長の最終陳述では目を合わせようともしなかったので「嫌な予感はあった」(土肥元校長)。

 裁判後の報告集会で、土肥元校長は「嘘つきが勝つ社会でいいはずがない。即控訴します。都教委の嘘を全国に知らしめたい」と支援者に応援の継続を呼びかけた。

(樫田秀樹・ルポライター、2月3日号)

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