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空母艦載機の移駐が争点の岩国市長選――移駐反対の井原勝介前市長及ばず

2012年2月16日5:24PM

 二〇一四年に、米海軍厚木基地から空母艦載機五九機が海兵隊岩国基地に移駐予定の山口県岩国市で一月二九日、市長選挙の投票が行なわれ、現職で基地容認派の福田良彦候補が、前市長の井原勝介候補らを破り再選された。

 同機移駐に反対する井原候補は市長時代、防衛省によって市庁舎建設の補助金をカットされた上、自民党や公明党が多数を握る市議会で予算可決を妨害されて辞職に追い込まれ、〇八年の市長選で僅差で敗北。今回、返り咲きはならなかった。

 福田候補は市長として防衛省からの手厚い予算措置を利用し、医療費の無料化や公立学校の耐震化などを実施。その一方で、艦載機移駐を実現する上で不可欠な米軍用住宅建設のため、市内愛宕山の開発地を昨年一二月、県とともに国に売却する意思を伝え、事実上艦載機移駐に協力する姿勢を示した。だが福田候補も前回選挙から約五〇〇〇票も減らし、必ずしも現職市長の移駐容認姿勢が支持されたとは言い難い。

 岩国市では、米軍再編による艦載機移駐が発表された〇五年以降、井原前市長を先頭に反対運動が続けられてきた。だが今回、井原前市長は艦載機移駐反対を前面に掲げた前回の市長選挙と異なり、市政全般や市民生活も重視するスタンスに転換。共産党はこれを不服として独自候補を擁立したが、市議選での基礎票の三分の一程度しか獲得できなかった。候補の一本化を願う市民の声を無視し、分裂選挙を引き起こしたことに対する批判が表れた形だ。

 だが、愛宕山の米軍人用住宅建設に対しては周辺地の住民を中心に反発が強く、これまで一一万筆を超える建設反対署名が集まっている。また一昨年八月から、建設予定地近くで毎月三回の住民座り込みが開始。五〇回目を迎えた今年の一月一日で、参加者人数は二七〇〇人を超えた。

 沖縄では辺野古での新基地建設が計画通り進展しない中、政府は岩国への艦載機移駐を先行させるため、今後愛宕山開発地での米軍住宅建設を強行してくる可能性が高い。反対運動はいよいよ正念場を迎えることになり、本土で唯一残った米軍再編に対する闘いは続く。辺野古のような幅広い全国的な支援が求められている。

(田村順玄・岩国市議、2月3日号)

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