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【米国】核廃棄物の最終処分をどうする――専門委は新組織の設立を提案
2012年2月22日7:36PM
米国に蓄積する核廃棄物の最終処分について二年近く検討を行なっていた専門家委員会が一月二六日、最終報告書をエネルギー省長官に提出した。米国には現在、稼働中や停止した原発施設七五カ所において六万五〇〇〇トン以上の使用済み核燃料が保管されており、毎年二〇〇〇トン以上が増加している。
報告書は、核廃棄物の管理や最終処分地を決定する際に地元の同意を得ること、今後の核廃棄物管理を担当する新たな組織を設立することなどを提案している。高レベル放射性廃棄物の最終処分場の候補地として決まったものの、科学的にも手続き的にも問題が噴出したことでオバマ政権が中止を決めたネバダ州のユッカマウンテン計画の是非や、具体的な処分地候補などについては扱っていない。
東京電力福島原発の事故の影響で、米国民の使用済み核燃料に対する関心は高まっている。だが、最終処分場が動き出すまでの険しい道のりはまさにこれからだ。
二〇一〇年一月に発足した「米国の原子力の将来に関するブルーリボンコミッション」は、三つの小委員会(処分委員会、原子炉・核燃料サイクル技術委員会、輸送・貯蔵委員会)で、調査・検討を進めてきた。これについて報告書はまず、ユッカマウンテンが高レベル放射性廃棄物の唯一の候補地として一九八七年に決定されたにもかかわらず、オバマ政権がこの計画中止を決定したことからみて、今後最終処分地を決める際にはトップダウン方式ではなく、その地域の関係者の同意を基にした新たな手法が必要だとしている。そのためには、透明性や柔軟性、十分な話し合いが必要だという。
報告書はまた、核廃棄物処分に特化した新たな組織の設立を提案している。処分地の決定、処分場の建設と運営が主な仕事で、使用済み核燃料の最終処分地への安全輸送の確保や、核廃棄物処分に関する技術の研究なども担当する。それぞれ一つ以上の地層処分場と中間貯蔵施設の建設の開始、また、核廃棄物の大規模輸送に対する準備を始めるよう提案している。
日本も高レベル放射性廃棄物の地層処分を決めているが、処分地の見通しは立っていない。透明性や地元の合意が不可欠という提言は日本でも求められるものだ。
(村上朝子・ライター、2月10日号)
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