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“虹色のグリーン”に“無色のグリーン”――「緑の党」「緑の日本」が設立へ

2012年2月27日6:31PM

左から、中山均、すぐろ奈緒、松本なみほ、八木聡ら「みどりの未来」各共同代表。(撮影/平井康嗣)

「エコでピースな地球の未来を政治でめざす」のキャッチフレーズのもと日本各地で「みどりの政治」に取り組んでいる団体と連携してきた「みどりの未来」が二月一二日、「緑の党」を今年七月までに結成し、二〇一三年の参院選に挑戦すると発表した。

 以前から脱原発を主張していた社民党は別格としても、東京電力福島第一原発事故後、脱原発をうち出す議員・政党が増えた。最近では公明党の主力支持団体創価学会の池田大作名誉会長も脱原発を早急に検討すべきと発言し、みんなの党、大阪維新の会など新興政党までが脱原発を掲げる。そんな中、国政選挙を見据えてエコロジー政治団体が動き始めた形だ。

「原発」と「おまかせ民主主義」にサヨナラというみどりの未来は、中村敦夫元参議院議員が代表を務めた「みどりの会議」の解散後の団体「みどりのテーブル」と、地方議員の集まりの「虹と緑」が二〇〇八年に統合して発足した。

「緑の党」はオーストラリアで生まれ、今では欧州を中心に世界各地で結成されている。みどりの未来も、各国の環境政党が所属する国際組織グローバルグリーンズに参加しており、日本版の「緑の党」は「国際的な連携をすることが特徴。また、NGOとも連携し、即時原発廃止のプログラムも持っていることが強み」(中山均「みどりの未来」共同代表)だという。そして、多様性を包容する参加型民主主義を実現していくという。

(右手前から時計回りで)加藤登紀子、中沢新一、マエキタミヤコ、宮台真司、いとうせいこう、鈴木邦男、鈴木耕、鈴木幸一の「グリーンアクティブ」発起人と賛同人。(撮影/平井康嗣)

 一方、翌一三日にも、脱原発運動を中心として「緑の党のようなものを目指す」という「グリーンアクティブ」が中沢新一氏、宮台真司氏らを発起人として都内で立ち上げを発表をした。

 中沢氏は、「3・11の後、日本人の間に力強くわき上がった“緑の意識”を目に見えるかたちでつくりあげていく。それは原発に依存しない社会をつくりだすことであり、むやみな自由貿易や自由主義経済へ抵抗することである。また、ネットの中に潜在している思いや声を引き出して現実社会へ大きく拡大していきたい。いきなり党という形でなく、もっとゆるやかなネットワークを通じて、多様な人びとを巻き込んで、日本をつくりかえていく組織をつくろうと考えている」と理念を語る。

 中沢氏は、東日本大震災以後、価値観が大きく転換し、言論活動を含めたあらゆる表現手段を考え、今回、このような行動を起こすことを決意したという。

 最近『愚民社会』(太田出版)を共著出版した発起人の宮台真司氏は、「どうして原発事故が起きたのか。どうして原発を止められないのか。それは何が事実か共有されていないから。専門家に任せてはだめ。くだらない誹謗中傷合戦をするイデオロギー勢力と思われてはならないことがこのプラットフォームを立ち上げる理由」と「党派的な運動」と一線を画し、イデオロギー色を排除する重要性を強調した。

「グリーンアクティブ」では、政治部門として「日本独自のエコロジー政党」である「緑の日本」を立ち上げ、脱原発を掲げる候補者から希望があればグリーンシールを貼っていくという。いわゆる「緑の党」運動との違いについて中沢氏は、「緑の党はヨーロッパの政治形態で、その歴史を抱えたまま日本に持ってくると日本人の想像力やこの国に相応しい活動形態が規制されるおそれがある」と話す。

 とはいえ両者に共通するのは、単なる「脱原発」ではなく、原発を招いた社会や形骸化した民主主義への思いだろう。多様な色を取り込もうとする「日本版緑の党」と、色を排しようとする「緑の日本」。今後の発展的な連携にも注目だ。

(平井康嗣・編集部、2月17日号)

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