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竪川河川敷公園で行政代執行――野宿生活者を強制退去
2012年3月6日1:29PM
東京都江東区竪川河川敷公園で生活する野宿生活者に対して二月八日、同区は行政代執行法に基づく強制退去を行なった。同公園に長年暮らしていたAさんは小屋と荷物を奪われ、「(区職員などが)いきなり暴力的に来たから、江東区に対しては仕返ししてやりたいぐらいの気持ち」と憤りを隠さない。
同公園は二〇〇九年から改修工事中で、江東区土木部水辺と緑の課の荒木猛男課長は、「令書を発行してブツ(小屋)があったらこれ(行政代執行)はやらざるを得ない」と話す。しかし、Aさんが生活していたのはもともと荒木課長自身が指示した場所だった。その上Aさんは行政代執行の対象とされた場所から引っ越す準備を進めていた。一月二〇日には、区にもその意思を伝えていたという。だが、二月八日の朝、「一〇〇人ほどの区の職員、警備員、私服警官がやって来た。Aさんの傍に行けないように私や他の仲間の両手足を掴むなどして、暴力的に排除していった」と野宿仲間は言う。この野宿仲間によると孤立したAさんは、周りを十数人に取り囲まれた。
Aさん以外にも行政代執行の対象とされた場所に野宿していた人たちがいたが、対象とならない場所に自主的に移動していた。ところが区は、野宿生活者たちのテントや小屋を囲む形で柵を強引に設置し、その区域を含む一部公園を一般利用できないよう緊急閉鎖していた。「これらの路上生活者の存在が一般利用者を脅かし、支援者が集まることで公園機能が損壊されると判断した」(前出課長)ためだという。
行政代執行の翌九日には、野宿生活者と支援者らが区に対して抗議活動を行なった。その際、区の退去命令で職員により何人かが庁舎外に出され、その過程で庁舎の外壁ガラスが割れたため、支援者の一人が器物破損の容疑で逮捕されている。一四日には、2・9竪川弾圧救援会が声明を発表。江東区、警察への抗議と、逮捕された野宿生活支援者の救援を呼びかけている。詳細は救援会ブログ http://solfeb9.wordpress.com/
(西村仁美・ルポライター、2月17日号)