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「創造的復興」という美辞の残骸――神戸空港破綻に市民の怒り

2012年3月9日6:24PM

強行建設された神戸空港が破綻したことで、行政に怒りの声をあげる市民ら。(撮影/たどころあきはる)

 二月一六日で開港六年を迎えた神戸空港の破綻ぶりが鮮明になってきた。二月一五日から空港が開港した一六日にかけて開催された抗議集会などでは、市民の声を無視して神戸市が強行した空港建設に対する怒りの告発が相次いだ。

 空港建設・運営そのものの破綻に加え、今度は埋立て造成地での地震・津波被害の危険性が急浮上。高速船「神戸―関空ベイ・シャトル」を運行する第三セクター「海上アクセス」(神戸市中央区)の民事再生法の適用申請、債務の株式化による事業継続に伴い、「市民のカネ一五八億円が海の藻屑と消え、さらに赤字の垂れ流しになる」といった声があがっている。

 神戸空港は、阪神・淡路大震災の復興事業の目玉として建設が強行され、二〇〇六年の二月一六日、鳴り物入りで開港した。当時、神戸市が宣伝した構想によると、「平成二二(二〇一〇)年度には、市内で約三六〇〇億円の所得増加、約二万七〇〇〇人の雇用増。同時に、市税の増収(年間約三〇〇億円)をもたらし、福祉・教育の充実に生かされる」はずだった。

「『ストップ! 神戸空港』の会」によると、雇用は空港建設中に二万人近くも減少。給与所得者の平均給与は五年間で一割以上も減り、市民総所得も四年間で約三七〇〇億円も減少した。福祉政策は後退し、値上げなどで一〇〇億円以上も市民に負担を押しつけている。

 決定的なのは、空港建設の借金二三〇三億円。造成地を売却して返済する計画だったが、売れたのは数%にしかすぎず、借金返済のために新たな借金をする“多重債務”状態に陥っている。

 また、このたび財政難を理由に、阪神・淡路大震災の被災者が暮らす借り上げ復興公営住宅からの退去を入居者に勧告しており、怒りの火に油を注ぐ形となっている。

(たどころあきはる・ジャーナリスト、2月24日号)

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