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東電、政府らが「刑事被告人」に――「原発を問う民衆法廷」始まる

2012年3月14日7:29PM

設楽俊司さん(写真左)は言語障がいがあり、この後降壇しスクリーンを使いながら話した。(撮影/西村仁美)

 東京タワー正面の機械振興会館(東京都港区)で、二月二五日、「原発を問う民衆法廷」(同実行委員会主催)が開かれた。「模擬裁判」だが、福島での原発事故被害の当事者が申し立て人となっており、被害者の視点から原発政策を問い直すことを目的としている。

 同実行委顧問・伊藤成彦氏(中央大学名誉教授)は冒頭、「戦争ではなく原発(政策)を裁くのは今回が世界初。この法廷活動を通じ、原発を停止させたい」と挨拶した。会場には約三〇〇人が入り、ステージ上の「法廷」は、検事団、判事団、アミカス・キュリエ(法廷の友達という意。今回は被告人の主張の代弁者)の三者で構成。メンバーは大学教授や弁護士たち。

 今回の民衆法廷では、福島第一原発事故は刑事事件となり、事故当時の東京電力、政府、関係機関幹部らが被告として起訴された。容疑は「公害犯罪」の二、三条違反と、刑法の業務上過失致死傷罪。申し立て人は総勢七人で、それぞれ意見陳述を行なった。車イスで出廷した「被災地障がい者支援センターふくしま」の設楽俊司さんは、途中、会場から声が聞き取りづらいなどの理由で言葉を遮られる場面もあったが、障がい者が福島で避難できず、ヘルパー不足にあえぐ現状を力強く訴えた。

 後半の証人尋問では、福島県生まれで『犠牲のシステム 福島・沖縄』(集英社刊)の著者・高橋哲哉氏が証人として出廷した。

「犠牲のシステム」とは、「ある者たちの利益が他の者たちの生活の犠牲の上にのみ満たされ維持されるもの」と言い、「原発というのは『犠牲のシステム』。ある人々の人権が深刻に侵害されているのを忘れるべきではないと思う」などと主張した。

 この民衆法廷は今後全国を巡回し、次回は福島で五月下旬に行なわれ、判決も下される予定だ。

(西村仁美・ルポライター、3月2日号)

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