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橋下市長下で始まる職務命令体制――「君が代」条例案が大阪市議会で可決
2012年3月19日5:18PM
大阪市議会で二月二九日、橋下徹市長提案の「君が代」起立斉唱条例案が、大阪維新の会・公明・自民の賛成多数で可決した。
同条例は、第三条で「本市の施設においては、その執務時間において、その利用者の見やすい場所に国旗を掲げるものとする」とし、第四条では「市立学校の行事において行われる国歌の斉唱にあっては、教職員は起立により斉唱を行うものとする」と定めている。教職員への起立だけでなく斉唱も義務づける内容となっているのだ。
維新の会が過半数の議席を得ていない大阪市議会において、橋下市長はまず、衆議院選挙での選挙協力を持ち出して公明を抱き込んだ。自民との間でも修正協議が進み、三会派での合意が成立。維新の会市議は条例案可決について、三月二七日に市議会採決を目論んでいる「大阪市教育行政基本条例」「大阪市立学校活性化条例」「大阪市職員基本条例」成立に向けた、「新たな連携への一歩」と評価した。
条例が即日施行されると、大阪市教育長は全学校長に対し「国歌斉唱の際に起立しないことは、市条例に反する」「(校長は教職員に対して)まずは自ら起立するよう粘り強く指導を行うこと」「指導に従わない場合においては、条例に反する状態とならないように、職務命令を行うこと」といった「通知」を再度発した。大阪市でも職務命令体制が始まったのだ。
橋下市長が就任して二カ月も経っていないが、市長と市教委による相次ぐ通知や指示によって、大阪市の学校現場は大きく変貌しつつある。
組合活動そのものが違法であるかのように見なされ、同僚同士の密告が奨励され、職場内では疑心暗鬼も広がっている。橋下市長トップダウンの実態調査(教職員の子どもの進学先調査など)が現場におろされ、管理職は書類作りに忙殺されている。
今年の卒業式に向けては、「君が代」のピアノ伴奏を実施していない学校に対して在特会(在日特権を許さない市民の会)が押しかけるという事件も起きている。
今回の条例がますます学校を萎縮させていることに、ある教員は、「条例まで作って、橋下市長は何がしたいのか。これでは学校現場が窒息状態となる。最も犠牲を被るのは子どもたちだ」と危惧した。
(伊加雅弘・ライター、3月9日号)