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池田香代子さん、竹下景子さんら連名――大阪・教育基本条例案に反対声明

2012年3月19日5:19PM

 松井一郎大阪府知事と橋下徹大阪市長が府市両議会に提出している、教育への政治関与を強める条例案の審議入りを目前にした二月二八日、佐藤学東京大学教授と翻訳家の池田香代子氏が東京都内で、反対声明を発表する記者会見を開いた。

 条例当初案の「知事が教育目標を設定」を、教育行政基本条例案第四条で「知事は委員会と協議し基本計画の案を作成する」とした修正について、佐藤氏は「表現をやわらげても内容は同じ。知事が独善的に教育目標を教育基本計画に入れれば、教育基本法が禁じる権力の介入と同じことになる」と指摘。また、「地方教育行政法第一三条等は『教育委員会は教育委員による合議制の執行機関』という旨を規定しているのに、条例案第七条二項が『知事が教育委員個々人を業績いかんで罷免する』としたのは違法だ」と批判した。

 大阪府の二〇一二年度公立学校教員合格者中、一二・四%もが採用を辞退している事態(過去五年で最悪)に、佐藤氏は「橋下氏は教員の質向上を唱えるが、条例案が通れば辞退者はさらに増える。質の低下は必至」と指摘した。

 政治講演会の参加者等の密告を全大阪市職員に命じた橋下市長の思想調査について、池田氏は「ファシズムというよりマッカーシズム」と批判。また、橋下市長が「君が代」不起立三回で教員を免職にする、とした職員基本条例案の規定を「スリーアウト制」と野球にたとえている点について、「橋下氏は『こう言えば拍手喝采を浴びられる』というテレビコメンテーターの感覚だ」と、呆れた様子で語った。

 池田さんはまた、ある実話を紹介。杉並区の首長だった山田宏氏肝いりの教師養成塾・師範館の塾生は、「グランドピアノを動かそうとしている人に『手伝って』と言われたらあなたはどうするか、との問いに『手伝いましょうか』は誤答。『上司(校長)の指示を仰ぐ』が正解」と指導され、教師になるのをやめたという。

 今回の反対声明は、呼びかけ人が藤田英典・共栄大学教授(政府・教育改革国民会議の元委員)ら一〇人、賛同者には俳優の杉良太郎さん、竹下景子さんら一三〇人以上が名を連ね、会見は同日、大阪でも行なわれた。

(永野厚男・教育ライター、3月9日号)

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