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米国で沖縄の構造的差別訴え――稲嶺名護市長が訪米報告
2012年3月23日6:55PM
普天間飛行場の辺野古移設実現に固執する日本政府に対し、一貫して拒否の姿勢を貫いている名護市の稲嶺進市長は二月二七日、名護市主催の訪米報告会の場で、あらためて「辺野古基地建設反対」を訴えた。
会場の市民会館大ホールには名護市民や県内各地から駆けつけた人々が、稲嶺市長および同行した玉城デニー衆院議員(民主)の報告に聞き入った。
稲嶺市長らは二月六日~一〇日、米国ワシントンを訪問。国務省、国防総省、米国連邦議会(上・下院)議員や関係者(軍事委員会、歳出委員会、財務委員会、外務委員会)、シンクタンク等、計二〇人と会談し、講演会や記者会見などを行なった。
稲嶺氏は「地元の市長が来たということで関心は高かった。(普天間移設問題は)日本国内の問題ではないか、という声もあったが、それに対しては、一六〇九年の薩摩侵攻以来の沖縄の歴史を話し、沖縄を犠牲にすることで繁栄を享受してきた日本による構造的差別が今もずっと続いている、と話した」「米国では『抑止力』とか『沖縄の地理的優位性』とかは問題になっておらず、財政問題が大きな比重を占めていることがわかった。抑止力論もパッケージ論も根拠を失っていることを実感した」などと報告。
会場の県内大学生から「日本と米国の認識の違いはどこからくるのか」という質問が出ると、稲嶺氏は「日本には軍事専門家がいないと言われた。五年の間に首相が六~七人、防衛大臣が九~一〇人も替わるような国とはまともに話ができない、ということだ。日本は米国に対して情報提供していない。私たちは米国に対しても本土に対しても、正確な情報を提供していくことが必要だ」と回答。
また「市民に約束した『海にも陸にも基地を造らせない』意思を貫き通してきたが、日米両政府は改めて辺野古へのV字案を確認。たくさんの大臣が『理解を得る』として沖縄入りしたが、名護まで来た人は一人もいない。嘉手納あたりに大きなバリアがあるらしい」と皮肉り、笑いを誘った。
(浦島悦子・フリーライター、3月9日号)