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日医生命倫理懇談会も問題点を指摘――「人体の不思議展」終了
2012年4月5日6:14PM
人間の遺体に特殊処理をして標本にした「人体の不思議展」について、日本医師会の生命倫理懇談会は三月七日、倫理的にも法的にも問題点があると指摘した。「『移植医療をめぐる生命倫理』についての報告」の中で言及している。
同じ頃、「人体の不思議展」公式ホームページでは閉幕宣言が掲げられ、同展事務局の解散を発表した。
同展は二〇一一年一月に京都市での開催を最後に、開催されていなかった。しかし、死体解剖保存法に違反するとの刑事告発が京都府警や過去の開催地の石川県警に対してなされ、告発は受理はされたものの立件は見送られた。
報告書は同展について「遺体の生々しい姿を、興行として営利目的で衆目に晒すのは、人の死後の尊厳を侵す行為ではないか」「標本にされた遺体の作成経緯において、死体の売買がないか、本人または遺族から適切な同意を得ているか、確かめられない」などと倫理的疑念を示し、遺体の扱いについて定めた法律を考える必要がある、とする。また、医師会として、医師や医学生に対し人体展の営業などにかかわらないように訴えるべき、ともしている。
同展の終了と生命倫理懇の報告を受け、「『人体の不思議展』に疑問を持つ会」の末永恵子さんは、「終了宣言自体は良かったが、主催者はそれまでの批判をなぜ無視したのか」と疑問を呈し、また、報告書については「人体展は尊厳を否定する展示であるとはっきり書いていることは評価したい」とした。
(小林拓矢・ジャーナリスト、3月23日号)