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松山市、際限ない「愛国心」強要――「国旗掲揚・国歌斉唱」決議
2012年4月19日3:41PM
愛媛県松山市議会は三月定例会において、「国旗掲揚と国歌斉唱に関する決議」を可決した。提出したのは自民、公明、松山維新の会など七人の議員で、定数四五中、反対六、棄権二、欠席一を除く賛成多数だった。
昨年の東日本大震災を引き合いに出し、「日本人が心一つとなり、国を再認識し強い愛着をいだき、自国の国旗、国歌を敬愛し、誇りに思うことは、国の伝統や文化を尊重し、郷土を愛する意識の高揚に資するとともに、他国を尊重し国際社会の平和と発展にも寄与する態度を養うことにもつながる」として、「国民の祝日に国旗掲揚し、公の式典での国歌斉唱は、まさにその第一歩となるものであり、松山市議会は国民の国を愛する意識の涵養に資するよう、市、教育委員会、その他の機関において国旗掲揚、国歌斉唱が行われるよう求める」というものだ。
同市議会では、二〇〇六年一二月からすでに議場に国旗が掲げられているが、公的機関や教育現場など範囲を拡大し言及するのは初めて。また、「その他の機関」の範囲はどこまでか。民間施設を含むのか。いずれも不明だ。今のところ、公民館等に国旗や国歌の伴奏テープなどが配布されたという情報はない。
一三の議席を占める市議会最大会派「松山維新の会」は「大阪維新の会」とも連携し、道州制など地方分権を政策に掲げているが、同会にとって「国家」への忠誠が「地方自治」と矛盾することはないようだ。
「決議」は法的拘束力を伴わないものの、地域への影響は計りしれない。議論もないまま「実績づくり」が積み重なれば、条例化の手続きを経ずとも「地ならし」につながる恐れもある。強制や拡大解釈が進まないよう引き続き注意が必要だ。
一方、内心の自由に踏み込むことや強制に反対する意見に対し、ヤジまで飛んだ。
「国や郷土を愛する意識の涵養」を市民に求める議員こそ、「他(国)を尊重する態度を養う」必要があるのではなかろうか。
(堀田圭・フリーライター、4月6日号)