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「君が代」不起立教諭に“研修”――都教委、トイレ監視も
2012年5月2日5:06PM
今春の卒業式の「君が代」斉唱時の不起立で、戒告処分を受けた東京都立学校教諭三人に対し、都教育委員会は四月五日、東京・文京区の都教職員研修センターで服務事故再発防止研修を強行した。
会場入口は都教委指導主事ら一二人が仁王立ち、道路反対側には公安警察七人が配置されるものものしい雰囲気の中で始まった。
開始前、教諭側弁護士らが「不起立に至る気持ちを書かせる事前課題は、二〇〇四年の東京地裁決定(内心の自由に踏み込み違憲違法の可能性あり)に違反する」と申入れた。だが北澤多美センター総務課長は無視して館内に。
集合研修で講師の落合真人都教委人事部担当課長は、「校長の職務命令に明白な瑕疵があるかがグレーゾーンの場合は、無効確認までのあいだ、従う義務あり」などと演説。次の講師・伊東哲都教委指導部課長は、「国を愛する態度育成が教育目標」とする改定教育基本法などを示しつつ、「教育での国歌斉唱の意義」を説いた。
この「講義」終了ごとに指導主事らが、テストのような「振り返りシート」の設問への回答を要求。落合氏のシートは、一月の最高裁判決から、都教委に不利な「減給以上は原則、違法処分」との内容を省き、「起立斉唱の職務命令が合憲との判示を踏まえ、どう考えるか」という設問を出題。この後、教諭らが移動中、指導主事らが監視しトイレの中まで付いてきた。
教諭は個室に分けられ、センター課長らがシート記入事項を確認。教諭とのやりとりで課長は「この研修は一般の職務命令の研修でなく、国歌の職務命令に関する研修だ」と言明したという。懲罰的な色彩が濃いだけでなく、思想信条の「改造」にまで踏み込む研修であることを匂わせるものだ。
教諭らはすでに経済的不利益を受けている。再発防止研修は、「研修」に名を借りた「懲罰」であり「いじめ」にほかならない。
戒告処分者の研修は昨年まで二時間以内だったが、時間が倍増。開始三時間半後、センター前で八〇人を超す支援者らが、研修を終えた教諭らを拍手で出迎えた。
(永野厚男・教育ライター、4月13日号)
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