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浜岡原発の再稼働は争点にならず――御前崎市長選、現職が勝利
2012年5月8日11:01AM
停止中の浜岡原発がある静岡県御前崎市の市長選は四月一五日に投開票され、農・漁業団体や町内会組織、連合静岡、中部電力等の支持・推薦を受けた石原茂雄現市長が投票総数の五七%にあたる一万二〇一八票を獲得し再選された。
対立候補の一人、水野克尚氏は中電・浜岡原発の再稼働に関し、三月三一日に内閣府が南海トラフ大地震による津波予想を発表するまでは曖昧な態度だったが、発表後は再稼働反対を鮮明に。しかし結果は六八四〇票。共産党推薦で再稼働反対・永久停止を一貫して掲げ続けた村松晴久候補は一八九一票で惨敗という結果になった。
世論調査などでは、浜岡原発の再稼働に反対する市民が七割を超えていたことから、マスコミはいっせいに再稼働か永久停止かを御前崎市民が選択する選挙になる、などと報じてきた。だが、結果的に御前崎市民は、再稼働問題を避けて従前どおりの地域利益優先型、地縁型候補を選んだと言える。
再選した石原候補の「再稼働問題は中電の津波対策が完成し、国の安全確認を待って市民が決定すればよい」という巧妙な争点隠しが奏功し、経済政策を中心にとりあげた戦術が成功した形だ。
これと並行して現職の強みを生かし、自治会組織や各業界団体等の徹底した囲い込み戦術を展開。自民党、民主党など二大政党の衆参国会議員、自治体議員の大半が応援に入り、中電労組を核とする連合静岡が行動部隊となって人海戦術を敢行した。
極め付きは中電役員が堂々の激励支援。結果として御前崎市民はこの選挙を浜岡原発の再稼働か廃炉かを選択する選挙にすることを避けることで、再稼働に有利な状況作りに加担してしまったのだ。
このことは、反原発の市民運動が現地の人々に、危険が切迫している現実を伝えきれていないことの裏返しでもある。
(白鳥良香・浜岡原発を考える静岡ネットワーク、4月20日号)