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自ら「八ッ場ダムは不要」裏付け――墓穴を掘る前田国交大臣
2012年5月9日5:18PM
前田武志国土交通相は、本誌四月六日号の記事「八ッ場ダムの再開決めた前田国土交通相の事情」(永尾俊彦氏)が気になるらしい。同記事は、前田大臣がかつて「遊水地をつくったら八ッ場ダムはいらんやないか」と語ったとしている。
前田大臣は「(利根川と)鬼怒川の合流点までに田中、菅生、稲戸井の遊水地がある。あそこのことが『週刊金曜日』に書いてあるんだよ」と、四月一一日、筆者との単独会見で自ら語り始め、遊水地は千葉県柏市などその下流域の地には治水効果があるが、「東京や埼玉には効果がない」と弁解した。
前田大臣はこの日、岐阜県の下呂市長選前に下呂建設業協会に対して「年来の同志が立候補する」との挨拶文を国交省の封筒で送った問題で、追及を受ける日だった。
「公職選挙法違反だ」との批判を浴びることになったが、こうした中で単独会見を設けるとは、よほど弁解したかったのだろう。
筆者は、審議の非公開性などについて質問していたが、約束の時間が過ぎたところで冒頭の弁解が始まった。紳士的に墓穴を掘ってくれた、としか言いようがない。
前田大臣が「遊水地は、都市部に近ければ近いほど治水効果がある」と永尾氏の取材でも答えているように、守りたい地から近いところでなければ治水効果はない。都心からの距離が、遥か遠い群馬県で造る八ッ場ダムの治水効果が低いことは、国交省資料でも明らかだったが、前田大臣は、八ッ場ダム不要発言を自らの言葉で裏付ける形となった。
(まさのあつこ・ジャーナリスト、4月20日号)