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自由な風刺で権力者の嘘を撃つ――日比谷でダジャンの集い
2012年5月11日6:33PM
東京・日比谷公園で四月一五日、ビルマ(ミャンマー)の伝統芸能タンジャが行なわれた。
ビルマの四月はティンジャン(ダジャン)の季節。伝統暦の新年を迎えるにあたって、水をかけ合う陽気なお祭りだ。東京では水は飛び交わないが、ビルマ料理の屋台が並び、大勢のビルマ人でにぎわった。バンド演奏や伝統舞踊が続き、最後を飾ったのが、在日ビルマ人のミンガラードウ舞踊団による恒例のタンジャだ。
タンジャの真髄は自由な風刺にある。本国では軍事政権が上演を禁じてきたが、国会補欠選挙で国民民主連盟(NLD)が圧勝した直後の今年は、その禁が解けた。民主化は少し前進したかに見えるが、舞踊団のウ・ウィンシュエ団長は「日本で難民申請した人の多くはまだ安心していません。タンジャで毎年、軍を批判してきたけれど、今年も今の“民主化”を信用しないで、というのがぼくらのメッセージでした」と言う。
切れ味の良い掛け合いや替え歌で権力者の嘘を楽しく撃つ。タンジャのような知恵と技が、じつは日本にも今必要なのではないか。
(松村洋・音楽評論家、4月20日号)