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発言予定者が身柄拘束!――脅かされる表現の自由

2012年5月17日4:46PM

 政府が指定する外交・防衛・公安情報を漏洩した者に厳罰を科す「秘密保全法案」について、藤村修官房長官は三月一九日の記者会見で「いろいろな意見を踏まえて慎重にやることも必要」と述べ、今国会提出を事実上見送る旨を表明した。政府による表現の自由の侵害が市民の反対でとりあえず押しとどめられた形だが、最近はビラまきやデモなど市民の表現活動が著しく制約されている印象が強い。

 こうした状況を受け、メディア関係の労働組合で構成する日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)と日本ジャーナリスト会議(JCJ)が共同で運営するサイト「憲法メディアフォーラム」の開設七周年を記念して、シンポジウム「表現の自由が危ない!~秘密保全法案とデモ・ビラまき規制」が二一日、東京都内で開かれた。

 ところが、パネリストを予定していたフリーライターの園良太さん(三一歳)が、東京・江東区の竪川公園での野宿者排除に対する抗議活動の中で逮捕・起訴され、東京拘置所に勾留されるという事態に見舞われた。当日は園さんの支援者が近況報告を行ない、また園さん自身も弁護士を通じて「私も一日も早く解放を勝ち取り、合流するので、皆で頑張りましょう!」とするメッセージを寄せた。

 シンポの基調講演で憲法学者の阪口正二郎・一橋大学教授は、国家による表現規制の背後には「空気を読め」といった世論の存在があることを指摘。続いて筆者が進行を務めたパネルディスカッションでは、日弁連事務総長の海渡雄一弁護士が自身の原発関連訴訟の経験から「国は重要な情報を隠すものだ」と喝破。『日本の公安警察』(講談社)の著者でジャーナリストの青木理さんは、「公安による逮捕はいつ、どこで、誰に行なわれてもおかしくない」と警告した。

(岩崎貞明・『放送レポート』編集長、4月27日号)

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