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電磁波、騒音、原発増設……――リニアをめぐってシンポ

2012年5月18日8:23PM

 リニア中央新幹線についてのシンポジウムが二一日、神奈川県川崎市で開催された。リニアは、総工費九兆三〇〇億円でJR東海が単独で進める事業。最高時速五〇五キロで東京・品川―大阪間を六七分で結ぶ。二〇二七年の品川―名古屋間の開業を目指し、二年後の二〇一四年には着工の予定だ。

 冒頭、鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは、「本来だったら賛成と言いたいが、JR東海の資料を見ただけでも実現は難しい」と発言。リニアは物質を絶対零度(マイナス二七三度)近くまで下げると電気抵抗がゼロになる超伝導現象を利用する。現在はその超伝導磁石の燃料電池の開発を待っている状態だ。また磁石の周りには一輌につき一・四トンの冷凍機が必要で、技術的にも開発途上。消費電力は新幹線の三倍という。

 JR東海はリニアの必要性を、東海道新幹線の老朽化と東海地震に対する大規模改修のための代替輸送機関確保のためと説明する。ルートは南アルプス直下をトンネルで貫くほか、八割が地下四〇メートルの「大深度」を予定。この深度での地下鉄は日本にはなく、日本最大級の断層である中央構造線を横断するルートでは難工事も予想される。綱渡りの資金計画に「やってみなければわからない」と梅原さんは懸念を表明する。

 五~一〇キロごとに空けられる排気と避難経路のための巨大な立坑は、川崎市でも三~四カ所が予想される。今回のシンポは「若いお母さんの不安」がきっかけだった。工事車両の通過や電磁波の影響、騒音など心配は尽きない。

 ガウスネット代表の懸樋哲夫さんは、「ルート上の山梨県大月市の変電所まで一〇〇万ボルトの送電線を引くことが、柏崎刈羽原発(新潟県)の増設理由にされたりしている」と説明。また、リニア市民ネットの川村晃生さんは「速いからといって幸せになるわけではない。そもそも新幹線やリニアが必要か」と疑問を投げかけた。

(宗像充・ライター、4月27日号)

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