福島原発告訴団の思い(3) 人見やよいさん
2012年5月25日12:36PM
「被曝は、れっきとした傷害事件」 人見やよいさん(51歳)
恐怖感――。これが、私が福島第一原発事故によって植え付けられ、心に被った最大の被害です。
地震が東北の大地を揺らすたび、福島第一原発の温度計がまた壊れたとの報道に接するたび、そして、原子炉や核燃料プールへの冷却水の注水が止まるたび、福島県の郡山市に暮らす私は、
「これで人生の終わりかも」
というほどの恐怖を感じています。
つとめて今までどおりの生活をするよう心がけてはいますが、絶望感と言い換えてもいいこの感覚は、昨年3月以降、原発事故によって日々の生活を翻弄され続けてきた私たち福島県民以外の方には、なかなか理解しづらいものかもしれません。でも、事故が起きる以前は一度も感じたことのない気持ちでした。
原発事故による放射能汚染で、家や仕事をなくしたわけでも病気になったわけでもありません。それでも、これほどの恐怖を感じるのです。だから、福島県から避難する人が今も後を絶たないのです。
被曝は、れっきとした傷害事件なのです。このことが明確に裁かれていないからこそ、加害企業の東京電力は、被害者に対する賠償を誠実に行なおうとしないのです。
原発事故以降、私はすべてのことに関心と責任を持つ生き方を目指すことにしました。告訴団の結成が、“集団無責任状態”から日本が脱するきっかけになればと願っています。
(まとめ・明石昇二郎〈ルポライター〉、5月11日号)