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スペインの5・12世界一斉行動――広場を埋めつくす99%の声

2012年5月28日6:28PM

マドリードのソル(太陽の意)広場に集まる人々。(撮影/篠田有史)

 失業率二四・四%。この一年で失業者数が約七三万人も増えたスペイン。人々は、政治・経済界の意図ではなく、市民の意思で社会のあり方を決められる世界を築こうと、行動を続けている。

 一二日午後四時半、街外れの公園を出発した時、集団は六〇人余りだった。首都マドリード中心のプエルタ・デル・ソル(太陽の門)広場まで約六キロ。行進するうちにデモ隊は膨らんでいく。

 歩きながら人々は歌う。「民主主義って言うけど、そうじゃない」「そこのあなた、(政治家や銀行家は)あなたからも盗んでる」

 掲げる横断幕やプラカードには、民意を無視した政策の拒否と、政策転換の要求が躍る。「銀行への公的資金投入反対」「教育・社会福祉予算カット反対」「すべての国民に住む家を」等々。

 夜八時、四方からソル広場になだれ込んだデモ参加者は、一〇万人を超えた。

 スペインの市民運動「15M(五月一五日)」はこの日、スペイン国内八〇の都市と世界各地でデモを呼びかけた。マドリードのほか、バルセロナで約八万人など、大勢の市民が街へ繰り出した。デモの後は三日間、街の広場が「市民会議」の場に変わった。

「マドリード学校間連合」をつくった中高生の一人、フリアさん(一五歳)は、「学校では二〇人用の教室に四〇人詰め込んだり、教師が雇えないというだけで科目が減らされたりしています。より良い世界を創るには、未来を担う私たちが行動しなければ」と語る。

 運動を通して、スペインはもちろんニューヨークなど世界へと、日常的な人と人との結びつきこそが社会変革の力だと考える人の輪が、じわじわと広がっている。

(工藤律子・ジャーナリスト、5月18日号)

公教育の質の向上を訴える中高生。(撮影/篠田有史)

「非暴力闘争の方法」のワークショップ。(撮影/篠田有史)

スペインが共和制だった時代の旗を掲げて進む。(撮影/篠田有史)

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