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野田首相は「規制庁がなくても再稼働可能」と発言――原子力規制庁ではなく廃炉庁を
2012年5月30日6:12PM
日本消費者連盟や原子力資料情報室、グリーンピース・ジャパンなど全国四三のNGOがこのほど、政府が四月の発足を目指しながら現在まで設置されていない「原子力規制庁」について、原発の運転継続を目指さない「廃炉庁」とし、原発存続が前提ならば設置に反対するとした共同声明を発表した。
さらに声明は、政府が一月に提出した原子力規制庁設置関連法案で示された「原子力規制庁」の在り方について、原発推進を掲げる環境省の外局とされており、「規制機関の独立性が担保されていない」として「他の政府機関や国会からも完全に独立した組織とすべきである」と要求。
また、仮に同「規制庁」が発足した場合でも、これまでの「原子力推進の立場の人間を職員としないルール」を適用すべきだと主張すると共に、法案では「公聴会」という用語すらなく、「住民への情報公開」や「住民参加プロセス」が抜け落ちていると批判している。
一方国会では、自民・公明両党などが提案した法案では、内閣からの「独立性が高い」行政組織(3条委員会)である「原子力規制委員会」を設置し、「原子力規制庁」をその事務局組織として位置付けるよう求めている。
これに対し民主党が自・公側の「原子力規制委員会」設置要求を受け入れ、「環境省の外局として『原子力規制庁』を設置するとした政府案を大幅に修正することで大筋合意」(『東京新聞』五月一一日付朝刊)という報道も。だが、両党は参議院で問責決議を受けた二閣僚交代を修正協議の条件とし、今後の話し合いの展望は見えない。
民主党原発事故収束対策プロジェクトチーム事務局次長の平智之衆議院議員は、「『規制庁』の在り方は、今後の原発政策の根幹に関わる。国会で作成が進められている福島原発事故の『調査委員会』の報告書が出るのを待ち、米スリーマイル原発事故の検証も取り入れるなど、時間をかけて論議を深めるべき」と求めている。
だが野田佳彦首相は一一日の記者会見で、「原子力規制庁の発足がなくても関西電力大飯原発の再稼働があり得る」などと発言。こうした「政治判断」が優先されるなら、どんな規制機関を設置しようが意味はない。問題は、政府の原発政策そのものにありそうだ。
(成澤宗男・編集部、5月18日号)