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国交省が「公用車談合事件」の損害賠償を請求――天下り先とのもたれ合いか!?
2012年6月4日5:35PM
二〇〇八年七月頃、国土交通省の「公用車談合疑惑」が世間を騒がせていた。この談合疑惑は国交省職員が予定価格を業者に事前に教えた「官製談合」であり、落札業者に国交省OBが多数再就職している「天下り問題」でも話題をさらった。〇九年六月二三日付の公正取引委員会が行なった「国土交通省が発注する車両管理業務の入札参加業者らに対する排除措置命令、課徴金納付命令等について」をもって、ひとまず事態は収束した。
公正取引委員会の排除措置命令等から三年以内に、国交省は談合企業に損害賠償請求をしなければ、時効消滅してしまう(独占禁止法第二六条第二項)。その時期が間もなく(六月)やってくる中、四月一三日に次のような発表があった。
「本年三月一六日には、事業者九社に対して、受注業務のほか、入札に参加した業務に関して損害賠償請求しました(損害が発生した契約件数一三六六件、損害額約七九億八二〇〇万円)」
しかし、その請求額が天下り談合企業に手心を加えているとの指摘がなされている。国交省インサイダーのA氏は「損害額を単純試算すると、五年超は時効で消滅したとしても、国交省の計算よりはるかに多い損害額になります。平均年間契約額である一八〇億円に未時効五年分を乗じ、そこに想定落札率(ただし非公表なので推定値)をかけ合わせていくと、私の試算では概算で三七一億円になるはずです」と指摘する。つまり、元本の約八〇億円どころか、遅延利息をあわせると、総額約三六〇億円も請求し損なっていることになる。
「実際は、公用車の台数を削減した部分、無論、談合がなかった契約等も含んだ単純試算であり、多めの計算ということになりますが、それでも数百億円程度になると思われます。やはり約八〇億円(元本)の請求では談合“天下り”企業に対して、不当に手加減しすぎですよ」(A氏)
にもかかわらず、疑惑の国土交通省では損害賠償額の算定方法・算定基準について一切開示をしていないため、損害賠償額が正しいのかそうでないのか、正確に検証すらできない状況にある。これでは、談合企業側に故意に甘くしていると疑われても仕方ない状況だ。
(小谷洋之・ジャーナリスト、5月25日号)